これは経費で落ちません! ~経理部の森若さん~ 1 (集英社オレンジ文庫)
森若沙名子、27歳、彼氏なし。入社以来、経理一筋。きっちりとした労働と、適正な給料。過剰なものも足りないものもない、完璧な生活をおくっている、はずだった。最近、そんな気配のなかった同期に恋人ができてしまい、少し迷いが生じている。ある日、営業部のエース・山田太陽が持ち込んだ領収書には「4800円、たこ焼き代」。経理からは社内の人間模様が見えてくる？
ほとんど経費で落としてるじゃないか！
そこそこ大きな会社でこんないい加減でいいのか？と思わなくもないが、そこが話の主題じゃないからまあいいか。これは、仕事がきっちりなら私生活もきっちりな経理部の堅物・森若さんが騒がしい周りの人々に振り回される物語。
正直イラッとすることが多かった。正しくはイラッとする人が多かった。
自分勝手な人が多いのは、世の中そんなものだと思っているので大して気にならなかったのだけど、デリカシーのない人と社会常識がない人が多いのには辟易。
それに比べて主人公森若さんの可愛らしさときたら。
気配りの人なのに、堅い口調と表情で勘違いされてしまう残念さに、それでも気配りを続ける健気さ。人のトラブルには動じないのに、自分へのイレギュラーには極端に弱いギャップ。どこを取っても愛嬌があって可愛らしい。
そんなわけで森若さんのキャラクターを楽しむ作品と割り切ればそれなりに楽しめた。嫌な奴らはみんな彼女の引き立て役ということで。
この先、森若さんが恋をして可愛くなっているところは読んでみたい気持ちはあるけれど、相手はどうしたってあの太陽なんだよね……。今回の困った人達の中でも最も嫌いなタイプなので、森若さんにこいつを選んでほしくないんだが。
