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「響け!ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話」武田綾乃(宝島社文庫)

響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 (宝島社文庫)
響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のホントの話 (宝島社文庫)

北宇治高校吹奏楽部の活躍を描く人気青春シリーズの短編集。あすか、香織らの卒業後や、夏休みの久美子たち、一年生部員の休日の様子など、北宇治吹部の楽しくてちょっぴり切ない日常を13編収録。優子の置き土産「アンサンブルコンテスト」では、チーム編成でまたもやひと波乱!? 優子や夏紀、みぞれ、希美の卒業式の日や、滝や新山たちの音大時代のほか、卓也が東京に旅立つ日を描いた感動の一編も必読!

十三編からなるシリーズ2冊目の短編集。
「十二 アンサンブルコンテスト」が百ページ以上ある中編で、あとは掌編〜短編。基本的には久美子が二年時のものが多いが、あすか達の卒業前後の話があったり、先生世代が学生時代の話があったりで時系列はバラバラ。



短編集になるとハッピー度が上がる。
部内の人間関係がメインに据えられていることは同じでも、本編では人間関係の良い面も悪い面も両方描かれるので、悪い面の方が目立ってドロッとした話になることが多いのに対して、短編集は良い面が抽出されている話が多くて爽やかな青春群像になっていた。みぞれと希美のように、その関係に至るまでの傷が見え隠れする時もあるけれど。
個々の話でいうと、
印象深いのは、一番長くて久美子新米部長の働きが見える十二話目。もっとアワアワしてハラハラさせられるのかと思ったら、意外としっかりできていて嬉しいようなちょっと残念なような複雑な気分。ここぞの鋭さは流石久美子。またファンが一人増えたね。
他に好きな話は、おっとり系美人だと思っていた新山先生の予想外な学生時代が垣間見える「郷愁の夢」。今の性格は滝先生の奥さんリスペクトなのかな。だとするとちょっと切ない。
あとはアニメで視たい「ツインテール推進計画」。麗奈のツインテ
そして何と言っても、最初と最後を飾る優子世代の卒業式。
こんなん優子に貰い泣き必至だ。来年は久美子たちもこの優子や夏紀たちの様に笑って泣ける卒業式が迎えられるだろうか。
三年になった久美子たちの物語を読むのがさらに楽しみになる一冊だった。