待ちにまった学院の前学期休み。早速、家に引きこもろうとするグレンだったが、セリカの強引な誘いによって、極寒のスノリア地方へ旅行にいくことに。
「ねぇ、アルフォネア教授……私達と勝負しませんか？」
旅行中、グレンを独り占めするセリカに見かね、グレンデート権を賭けて、雪合戦大会が勃発!? 偶然居わせた女学院の生徒たちも巻き込み、伝統行事・銀竜祭へ参加するのだが……。
「やらかしたもんは仕方ねえ、お前の償いを手伝ってやるよ」
銀竜祭にまつわる逸話と、セリカの失われた過去。二つが交わる時、滅びゆくスノリアの運命に、グレンは立ち上がる!
うーん、こんなハイテンションだったっけ？ ……色々溜まってるのかな。
シリアスが続いた後はコメディで羽目を外すのはいつものことだけど、ここまで外したことはなかったはず。それにセリカは元々傍若無人唯我独尊なキャラだけど、ここまで空気読めないことはしないイメージだったんだけど。作品の雰囲気とセリカのキャラを壊しかねないぐらいの弾けた様子に正直引いた。
また、敵が出て来てからはちゃんと熱い展開になるのだけど、こちらもこのシリーズらしさはなかった。
戦うのがセリカがメインとあって、あの手この手でギリギリ勝利するグレンたちとの戦いと違い力技の応酬で、派手さはあるが緊張感はなくエキシビションマッチみたい。
また、このシリーズ最大の謎・セリカにスポットが当たり、さらには敵組織のボスの顔見せもありと、シリーズとしては重要な回なのは分かるのだが、謎のいくつかに新たな伏線が張られただけで新しい情報は多くなく、ボスは傍観者に徹することを宣言していっただけで、残念ながら盛り上がりはない。
ストーリー、キャラクターの両面で見所の多かった１１巻と比べても、前回セリカがメインだった追憶日誌２と比べても見劣りする『ロクでなし』らしさの薄い微妙な出来。平行する新シリーズが始まったこともあり今後のクオリティが心配。
