小説投稿サイトでトップ10にランクインしたおれは「死にたい」と思うことで、自分の書いた小説世界に入れることに気がついた。小説の通り黒騎士に愛する姫の母が殺され、大冒険の旅に……♪ってボケェ!! 作者(おれ)が姫(きみ)を不幸にし主人公(おれ)が救う自己満足。書き直さな! 現実でも異世界でも全員が幸せになる方法を探すんや! あれ、何これ。「作者への挑戦状」って……これ、ミステリなん?
第58回メフィスト賞受賞作。
なんとか読み切った。きつかった。とんでもなく苦手なタイプだった。
関西弁＋セルフツッコミ＋てにをはをわざと抜いたような文章という三重苦の地の文で、それはもうリズム・テンポが悪く、その時点で読む人を選ぶ作品になっている。個人的にはそこはまだ許容範囲だったのだが……。
この思考があっちこっちに飛ぶ文章が無理。気持ち悪くてしょうがない。黒幕とか作中世界の書き換えとか、色々考えさせるような作りになっているのに、何故そこに集中させてくれないのか。イラッとするレベルではなく、神経を逆なでされているような感覚だった。
一応、読み切った上で言いたいことは二つ。
違和感はそこかしこにあるが、自分の造った世界という頭があるからなのか、結局はキャラクターをキャラクターとしか見ていないのか、常識にしろ倫理観にしろ自分の物差しでしか物事を測らないこと、個人の価値観の違いが念頭にないことが一番の違和感。
もう一つは、「なんでもあり」設定で何かを考えさせる作品を書くのなら、最低限の土台を用意してくれないと、全てが無駄になる。まあこっちは、後半飛ばし読み気味だったから、見つけられなかっただけかもしれないけど。
着想は面白かったと思う。ただ、自分には文章が致命的に合わなかった。
