いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「この終末時計、戻せますか?進めますか?」朝日乃ケイ(GA文庫)

この終末時計、戻せますか? 進めますか? (GA文庫)

「あと5分で世界は滅びます! 」
ごく普通の高校生・御終日暮の前に突然舞い降りた銀髪の美少女・戦波アテナ。彼女のおっぱいを触らなければ、『終末時計』の針が刻まれて世界が滅んでしまうという。
「ふふん。わたしに従っていれば、世界は救われますから! 」
その日からアテナの指示に振り回される日暮だったが、肝心の内容はロクでもないものばかりで……
「――クラスの女子全員のパンツを盗んでください! 」
「絶対、世界の命運と関係ねえ! 」
何気ない言動→バタフライ効果で地球の存亡が決まる!?
ポンコツ可愛い謎の美少女と紡ぐ終末まであと何分系ラブコメ開幕!

勢いだけで突っ走るハイテンションラブコメってまだあるんだ。10年くらい前はいっぱいあったけど、最近はとんと見かけない。まあ、自分がそういうタイプの作品を選んでないってのもあるだろうけど。久しぶりのこの手の作品との出会いに懐かしい気持ちにさせてもらった。
ただ、この作品が面白かったかというと別の話で……
「馬鹿らしいことを真剣に取り組む」というコンセプトは、過去のコメディラノベの名作たちが証明しているように、決して間違いではないのだけれど、そこには真剣に取り組むことに納得できる理由が必要だと思うんだ。その理由付けという名の詭弁も、この手のコメディの楽しみの一つでもある。
もしくは主人公が中てられるほど真剣なバカで、その熱量で訳が分からないけど納得してしまうパターン。『俺ツイ』なんかはこのタイプ。
しかし、この作品にはどちらもなかった。「〇〇をしないと世界が滅びます」「え、そうなの? じゃあやるわ」で納得したり熱量を感じるのはさすがに無理だ。感じたのは唐突さと理不尽だけ。
残念ながら「馬鹿」を本気で楽しむための説得力が足りなかった。