いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「どらごんコンチェルト」遊歩新夢(オーバーラップ文庫)

どらごんコンチェルト! 1 (オーバーラップ文庫)

聴き慣れない音色に惹かれ、辿り着いた先には――天使と見紛う少女がいた。
「お願い……なの。フィリーネを、大人にしてくださいなの……」
コンクールで前代未聞の失敗を犯した遊佐響也が失意の底で意識を失い、目を覚ますとそこは見知らぬ土地。そんな響也を助けたのは、トランペットの演奏者にして、竜神様へ音楽を捧げる『竜楽師』を目指す十二歳の少女・フィリーネだった。響也はフィリーネに頼まれ、竜楽師の試験に向けて音楽を教える傍ら、なぜか一緒に暮らすことに――!? 失意の底に落ちた青年と、音楽に情熱を賭けた少女たちが奏でる異世界音楽ファンタジー、開幕!

『きんいろカルテット』の遊歩新夢先生、4年ぶりの新作。
国際コンペティションで大失態を犯し、人生のどん底にある主人公・遊佐が異世界へ飛ばされ、才能あふれる少女との出会いから音楽の楽しさを取り戻していく物語。
飛ばされる異世界が、有名作曲家の生まれた時代や性別などが違ったり、キリスト教の代わりに竜神教があったりと細かい違いはあるものの、18世紀末の神聖ローマ帝国=現実(の過去)に近い世界であることと、主人公のトラウマが強烈だったり、教会組織の腐敗が激しかったりと、なかなかシビアな設定なのが特徴。


待ってました!
トラウマや気負いから来る本人の緊張感とそれを上回る高揚感。観衆の冷めた批判的な目を音楽で黙らせ、一音一音盛り上がっていく会場の雰囲気。プレイヤーである作者でしか出せないこの演奏時の臨場感。そう、これが読みたかったんだ。条件を厳しくした世界設定と、ファンタジーならではの演出も加わって、1巻としての熱さは前作以上かも。
もう一つ良かった点は、ヒロインの幅。ロリ系ヒロインしかいなかった前作と違い、年下、同年代、年上と手広くカバー。はい、妖艶で多彩なフランシェスカさんが好きです! 銀髪ジャンヌも捨てがたい。しかもエピローグの口ぶりからして、ハーレム状態&ヒロイン追加の可能性が高く、この先もっと気に入るヒロインが出てくるかもしれない期待感もある。
とりあえずベートーヴェン、バッハ、モーツァルトの巨匠たちがどんな姿で出てくるかが楽しみだ。