いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア11」大森藤ノ(GA文庫)

「斬れなかった……モンスターを」
ベルとの戦いを経て、失意に沈むアイズは思い悩んでいた。己の戦う意味、破られた誓い、怪物の涙。全てを自覚した上で少女はもう一度少年に会いに行く。
「作戦開始は――十日後だ」
そして時計の針は進む。
迫りくる人造迷宮攻略作戦。垣根が取り払われた神々は結託し、冒険者達は意志を一つにし、異端の怪物達もまた、その運命の日に集う。待ち受けるは闇派閥残党、怪人達、そして――都市の破壊者。迷宮都市の命運をかけた戦いが今、幕を切る!
これは、もう一つの眷族の物語、──【剣姫の神聖譚】──


人造迷宮攻略作戦決行の外伝11巻。時系列は本編12巻の裏。
ベルたちが12巻から続くあの事件に巻き込まれる原因が、神ヘルメスの気遣いだったという皮肉。あの神、やっぱ碌なことしねーな。
という本編の裏話は置いといて、こちらの関心事はアイズ。『異端児』事件で、モンスターを目の前にして殺せなかったことで、アイデンティティの危機を迎えている外伝主人公。
意外にも凹んでいる時間はほとんどなく、リヴェリア(ママ)との語り合いと、ベルとの短い再開で早々に復活。禁じ手を使ってまでの厳しい特訓のを経て、人造迷宮攻略で大あb……出番ないかーい! いやまあ、囮もちゃんとした役割の一つだけどさ。三章までの半分以上をアイズに復活に費やした前置きはなんだったの? あんなの期待するに決まってるじゃない。
そんなわけで攻略作戦本番は、淡々と進行していたという印象しかない。最後のどんでん返し以外はサプライズもないし。著者紹介からあとがきまで、著者の聖女愛の濃さに戸惑うくらい。アミッドなんて「そういえば、いつも回復薬作ってくれる人がいたなあ」くらいの記憶しかないよ(^^;
アイズ押しの自分としてはここのところの外伝が、活躍はフィン、試練はレフィーヤで、【剣姫の神聖譚】とは何だったのかになっていて悲しい。
次回で決着らしいのだけど、事がどんどん大きくなっているので、どこからどこまでが決着するのやら。とりあえず犯人ならぬ犯神の正体が気になる。オラリオに居る神だとかなり限られてくるが。