いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「変態王子と笑わない猫。13」さがら総(MF文庫J)

頭の中身が煩悩まみれな高校生・横寺陽人は、NTT作戦という名の後輩をくすぐる秘密プロジェクトを遂行していた。大人のオンナの筒隠月子は、ちょっぴりえっちな同人小説をホームページにアップし、見えないアンチと格闘していた。誉れ高き大和撫子・筒隠つくしは『鋼鉄の王』を殺すため、ウエディングドレス着用の式を海外で挙げることになった。動物大好きな少女・小豆梓はある日、自らが小さなわんこになってしまっていることを知った。
そして、それから。ピクニックに集まった仲間たちは――同じ屋根の下で楽しく暮らしていた。大人気爽やか系変態青春ラブコメ最終第13弾。あの日の彼らは、今日も君と生きている。

結末後のエピローグ短編集。過去の短編二編も収録。


受験勉強中のマイマイがほんわかさまに語る。という体で進む思い出話とそれからのお話。
付録短編の再録の思い出話の二編は、自分の欲に素直な少し珍しい月子ちゃんが大変可愛い話。無言無表情でちょっと体を寄せてくっ付いてくる月子……変態さんや鋼鉄さんじゃなくてもヤバいね。
本題のエピローグ短編集の方は、鋼鉄さんの話と小豆梓の話、それとみんなが大学生になってからの話。
幸せいっぱい変態いっぱいのエピローグかと思ったら(帯にもそう書いてあるし)、思いの外切ない系の話が出てきて驚いた。本編が月子エンドなので、鋼鉄さんや小豆梓にはそういう感情を抱いてしまうのかもだけど。
でも、どちらもヒロインが不安とか寂しさとか溜まっていた感情を吐き出して笑って終わるラストで、本編で語れなかったものが補完されたのが嬉しいし、読後感はいいしで、エピローグに相応しい話だった。
それにしても小豆梓の扱い酷すぎぃ! 文章も挿絵(164頁)もラノベヒロインの姿じゃねえw 
最後の一編は正真正銘幸せいっぱいのエピローグ。爛れてるけど。
みんなが笑って日々を暮らす。横寺くんが目指したものの形がそこにある、納得の幕引き。まあ、本人のやってることはただのセクハラ野郎だけどね。
「とにかくヒロインを可愛く」を貫いた主人公でありシリーズだった。彼女たち(特に月子)の可愛い姿が最後にもう一度読めて満足だ。