いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「STAiRs, be STAR! 怪談アイドルはじめます。」峰守ひろかず(富士見L文庫)

新倉隆治は、結成したばかりのアイドルグループ「STAiRs」の一員だ。メンバーは硬派なダンサーの雷汰、しっかり者で子役上がりの千博、おっとり神秘的なつぐみと合わせて4人。隆治としては、今度のPV撮影をきっかけに、少しずつ皆と親睦を深めたい……。
ところがその撮影現場でホラーな現象が続発! 実は霊感のある隆治は、ここがヤバイ場所だと気づいていた。悔しくも解散と思われた矢先、他のメンバーたちも見えていることを告白し始めて――!?
怪談事件にまみれた4人の、駆け上がりアイドル物語がはじまる!


売れてない上にグループ内の仲もよろしくないアイドルユニットが、あることをきっかけにお互いを認め、高めあっていくサクセス(途中)ストーリー。
そのあることとは、霊感があること。著者・タイトル・あらすじで、オカルト方面の話になることは分かっていたが……それでいいのかお前らw 見える人あるあるネタで盛り上がる男達や、ヒロイン扱いのトイレの花子さんの図はシュールだ。
そんなわけで零細芸能事務所の男性アイドルユニットが、PV撮影で、ライブ会場で、合宿所でと、毎回怪奇現象に巻き込まれるドタバタコメディ。
怪異譚としては、題材はネットが発達して以降の新しい都市伝説がメインで、それ系に詳しい千尋君(元子役)の解説と、古い妖怪に詳しいつぐみ(最年長)の知識を比較して、怪異の変遷や変異を感じられるのが面白いところ。
アイドル業の方は、学生の部活ものっぽい青春感があった。
本番までの苦労や挫折。それを乗り越えての飛躍や友情には、スポ根に通じるものがあって面白かった。男女問わずアイドルには興味がないので、残念ながら彼らの本番での感動には共感できなかったが、大人で友情と青春をやるのに、アイドルグループは結構ありかも。


解析官、図書館、アイドル。峰守先生の3ヵ月連続刊行完走。個人的には図書館が好みかな。(ただレーベル的に最も続刊がなさそうなのが辛いところ)