いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「スーパーカブ5」トネ・コーケン(角川スニーカー文庫)

高校卒業も間近の1月。3ヶ月後に迫った大学生活の目途も立ち、山梨で過ごす時間もあと少し。しかし残った高校生活を平穏に過ごそうとする小熊とカブに、突然の試練が襲い掛かる。入院期間は5週間。初めての入院、初めての手術。同じ病室になった、3人の個性的な女性たち。カブと引き離された小熊の日常は、半日で一変していた。一方、大学受験を控えた椎は、たったひとりである挑戦をしようとしていて…。両親も友達も趣味もない、何もなかった少女が手に入れたカブのある生活。これからもバイクと一緒に生きていくために、もう一度少女が向き合う、カブとの付き合い方。


流石にもう大学生編だろうと思ったら、まだ高校生だった。引っ張るなあ。
今回は生身で高速で走るバイクとは切っても切れない怪我の話。小熊入院編。
入院&手術歴がそこそこ多い自分には実体験と比較ができて、とても興味深い内容だった。
初めての処置にビビったり、やけに笑顔な医師にビビったりね。わかるわかる。大部屋での人間関係や手術前後のあれこれも、共感できるところと、男女の違いか性格の違いか感じ方の違いに感心するところの両方があって面白かったし、ベッドの技術の進歩を感じたり(そっか、尿瓶じゃないのかー)と、変な言い方だが入院ライフを満喫できた。
また、ルームメイトという名の新キャラが、計算高い大部屋のドン、バイク狂シスター、引き篭もり少女(年上)と濃いメンバーだったのも楽しく読めた要因。おかげで、素っ気なさそうで実は面倒見のいいところとか、やることがワイルドで時々行き過ぎなところとか、入院生活でも小熊らしさが出ていた。
次こそは大学生編かな? 椎とのルームシェアの可能性が断たれたのがとても残念だけど、なんだかんだで行き来するんだろう。というか椎が小熊宅に足しげく通いそう。