いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ロクでなし魔術講師と禁忌教典15」羊太郎(富士見ファンタジア文庫)

「なんで! 俺が! こいつらの総監督を務めにゃならんのよ!?」
帝国代表選抜会を終え、いよいよ迫る魔術祭典。何の因果か、総監督を務めることになったグレン。メイン・ウィザードを勝ち取ったシスティーナと訪れたのは自由都市ミラーノ!
平和の祭典に相応しい地に足を踏み入れた帝国代表は、かつてない大舞台で各国代表と激突する! 一方、この祭典を台無しにし、戦争をもたらそうとする刺客に気付いたグレンは、教え子たちの思いを守るため、自身も戦いに乗り出して……
「へっ!裏魔術祭典・大開催!ってわけだな」
天使と吸血鬼。芸術の都に高らかに悲劇の歌声は響く――。


各国の代表と相まみえる魔術祭典が開催されるシリーズ第15巻。
どうしてこうなった。
学生たちが主役の競技大会のはずが、汚い大人たちに政治利用されて、平和の祭典(笑)になってしまっていた。当然、学生たちは蚊帳の外の脇役に。ある意味リアルと言えばリアルだが……。祖父に憧れそれに、一歩でも近づきたいと頑張っているシスティに、この仕打ちはないんじゃないか?
しかも話が前編で、はっきりは明かされない大人たちの思惑ばかりが語られるという、学生蔑ろで胸糞悪い、隠し事ばかりでモヤっと、最後スッキリもできないの三重苦。この巻単体ではまるで面白くない。面白くなるかは後編次第。
そんな中でよかったところと言えば、グレン×ルミアが楽しめるところ。ルミアがマネージャーとして、何故か総監督を任されたグレンのそばにべったりだった上に、システィは従妹に付きまとわれていて邪魔も入らないベストな状況。おまけにお母様のGOサインまで!?
ちょっぴりわがままになったルミアが、グレンと楽しそうに会話してたり、グレンの為に一生懸命になる姿が唯一にして最高の清涼剤だった。
前編ぐらい学生たちが本気で戦うだけの回に出来なかったんだろうか。後編で「裏ではグレンたちはこんなに大変でした」でよかったと思うのだが。