いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法科高校の劣等生 (30) 奪還編」佐島勤(電撃文庫)

水波を連れ、日本を脱した九島光宜。パラサイト化したレイモンドと共に、USNA軍基地のある北西ハワイ諸島を目指す。
一方、九重八雲という意外な伏兵によって追跡を阻止された達也だが、彼は水波のことを諦めてはいなかった。必ず連れ戻す、と深雪と約束したからだ。
光宜とレイモンドが逃れた先。そこは奇しくも、リーナが救出を願うカノープス少佐が幽閉されたミッドウェー監獄に近い、パールアンドハーミーズ米軍基地。
パラサイトを滅す新魔法『アストラル・ディスパージョン』を習得した達也が、水波と、そしてカノープス奪還のため、USNA軍基地を隠密裏に強襲する……!!


やっと「さすおに」って言える喜び。
ここまで何巻にもわたって準備してきて、ようやくの本領発揮。準備期間の割には暴れられた時間はそう長くないけれど、圧倒的な無敵感を発揮してくれたし、2ヵ所も襲撃しているしで概ね満足。「概ね」なのは、最後がちょっと拍子抜けなので、その分マイナス。
そのサブタイトル通り「奪還」をしていたのは終盤だけで、残りは達也を取り巻く環境や状況の変化。
中でも鮮明に描かれていたのは、達也と国防軍の対立。佐伯閣下ってこんな人だったんだ。対達也に関して悪手を選び続けるヒステリックおばさんに「やれやれ」と「あ~あ」の連続。そりゃ、彼女も四葉の勧誘になびくよ。
その四葉は、使える駒を着々と取り込んでいた。もう誰も逆らえないんじゃ・・・。てか最近、真夜さんの出番多くね? 相変わらずのラスボス感。どっかの誰かに見習ってほしい。
それにしても、シリーズ序盤は四葉憎しで、国防軍は味方とまではいかないけれど頼れる存在だったのに、随分と変わったもんだ。
次は日本に集まり過ぎた戦略級魔法師をめぐっての一悶着。水波の容態が回復した理由は? 逃げたラスボスは少しでも強くなって帰ってきてくれるのか?辺りが気になるところなのだけど、しばらくお預けかな。