いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ファイフステル・サーガ4」師走トオル(富士見ファンタジア文庫)

灰エルフの軍勢を退け、一時の休戦状態へ持ち込んだカレルに、息つく暇もなく《狂嗤の団》切り込み隊長コルネリウスへの婚約話という難題が降りかかる。コルネリウスとともに内乱中のヴィエレヒト司教領を訪れたカレルは婚約者の少女ヘンリエッテと出会う。
「当面は婚約者としてお力をお貸しいただきたいのです」
わずか十一歳という年齢ながら、殺された父の無念を晴らすべく国を統べる大司教になりたいという彼女の力になるため、カレルたちは内乱鎮圧へと動き出すことに……。英雄は少女を王国の救い手として導けるのか!


内乱の様子とコルネリウスへの婚約話の真意を探りに、カレルが宗教国ヴィエレヒト司教領に赴くシリーズ弾4巻。
戦略面ではカレルが頭の回転の速さを披露し、戦闘面ではコルネリウスが反則級の戦闘力を如何なく発揮と、前回は灰エルフの英雄がその強さ(とエロゲ主人公力)を見せつけたが、今回は人間の英雄たちがその能力を発揮する回。
まあ、相手が弱すぎたのもあるが。戦争に疎いのは仕方がないとしても、権力欲ばかりが強くて政治的にも無能揃いだったヴィエレヒト司教領の司教たち。これでよく国が回っていたなと。そのトップである大司教がこれでもかと下種に描かれていたので、爽快感は最高。
キャラクター小説としてはコルネリウスがメイン。彼が子供には優しい理由が明かされるので、仮の婚約者ヘンリエッタ(11歳)との不器用なやり取りが微笑ましく映る。また、異常に強い理由が「呪い」だと明かされたのが興味深い。誰のどんな呪いなのか。
まだまだ一枚岩にはなりそうにはないが、一応人間側が団結する用意は出来て、巫女という切り札も得て、さらにもう一勢力味方に?というところで次回へ。
ミーリエルの爆弾発言で続いたが、一番の関心事はセシリアの体調不良。悪いことの予兆なのか、妊娠フラグなのか。ヴェッセルの秘密を看破したカレルの行動と、灰エルフの動きも気になるところ。
でもそれより何より、続きが出るのか。ファンタジアには何でこれが10巻以上も続いてるの?って作品が結構あるのに、この作品が続行危機なのが信じられない。