いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「継母の連れ子が元カノだった3 幼馴染みはやめておけ」紙城境介(角川スニーカー文庫)

いさなの告白叶わずも、すんなりと親友同士に戻った水斗といさな。相変わらず近い二人の距離感に、心がざわつく結女だったが――そんな彼ら以上に、理解できない二人がいた。南暁月と川波小暮である。幼馴染み同士なのに、顔を見る度にいがみ合い……。暁月たちの仲直りを望む結女、そして二人の過去を察した水斗は、いさなを巻き込んで一役買うことに!?
きたる勉強合宿。かくして暁月と川波は、黒歴史《おもいで》に向き合うことになる。あの頃のあだ名で呼び合い、恋人ごっこをさせられて。それはただの“罰ゲーム”なのに、どうしてもお互いを意識してしまうこの二人も――元恋人同士なのである!!


タイトル通りに幼馴染み同士の南暁月と川波小暮の話がメインの3巻。
3巻くらいでサブキャラの掘り下げがあるのは良くある話だが、この二人は引っ掻き回し役とサポートに徹する友人役だと思っていたので、二人が掘り下げられるのは意外。
いさなが結女の焚きつけ役に収まりそうなので、南の存在感が薄くなりそうなのはちょっとあるかな。
今回は話の内容的に伊理戸兄妹の影が薄めながら、いさなの無自覚スキンシップやずぼらな甘えに、ちょくちょく対抗していく結女ちゃんが可愛かった。
まあ、そんなことより幼馴染みの話ですよ。
「幼馴染み」という枠に、周りの目によってはめ込まれていき、歯車が狂っていく二人の関係性。拗れて壊れた結果は知っていたけれど、その原因は色々な要因が重なっていて遣る瀬無く、悲しくなる話だった。壊れた最大の元凶となった南の依存心の強い性格も、家庭環境の影響を考えると、彼女ばかりは責められない。川波のほうも割と……というか、このシリーズの主要キャラ5人、みんな闇が深いよね(^^;
ブコメという枠を飛び越えて、人間関係のままならなさや、人の目や同調圧力などの場の空気の怖さを感じる話だった。
次からはまたメイン二人の話になるになるようで。一つの失敗例を見せてからの展開がどう転がるかに期待。