いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「賢勇者シコルスキ・ジーライフの大いなる探求 痛 ~愛弟子サヨナと今回はこのくらいで勘弁しといたるわ~」有象利路(電撃文庫)

「クソっ、今回もダメだったか……ッ!」
担当編集は憤っていた。悪ノリで2巻が出てしまうこの『賢勇者』シリーズを王道ファンタジー路線に戻すべく、彼は時間遡行を繰り返し、未来を変えようとしていたのだ。
しかし、何度繰り返しても本作の主人公・シコルスキは、賢勇者というカッコいい肩書きなのに定期的に全裸になる変態であり、ヒロイン・サヨナは昨今のトレンドに反して胸が極薄で、性格がバブみから遠ざかっていくのだった。サブキャラも全員反社会的なサムシングだ。
「オレは、嫌なんだ! 全文検索で卑猥な単語がジャンジャン引っかかる下品な小説を編集するのは……! うおおおッ!」
果たして担当は未来を変えられたか!? その答えは今、君の手の中にある――。


出ちゃったよ2巻。何故またこれを流通にのせてしまったのか。
2巻も各方々に毒をまき散らしながら、一直線に駆け抜けていった。
しかし1巻以上に際どいところを攻めるのは流石に無理だったようで、1巻のインパクトを超えることはなかった。人とは一度慣れてしまうと、それ以上の刺激がないと満足できないもので、トーンダウンした感が否めない。それに業界にあれ以上切り込めなかった分、下ネタだけは強化されていたのもむしろ逆効果で、好みから外れて読むのがきつくなっていた。
サヨナのツッコミはもう初めから恥じらいがなく、投稿企画もイマイチ跳ねず、美人だったアデル母の挿絵と榎宮先生の生存確認ができたのは良かったけど、他はどうかなーと思いながら読み終わる……はずだった。
それがまさか、真・最終話にとんでもない爆弾が仕込まれていようとは。
人の写真で笑うのは失礼だけど、こんなところに出てきたら笑うわ! ネタの際どさ諸々含めて卑怯だ!
この手の作品で一回でも笑ったら負けだと思っているので、今回も負けです。ちくしょー