いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「新宿もののけ図書館利用案内2」峰守ひろかず(メゾン文庫)

夏を迎えた『新宿本姫図書館』に現れた幼い利用者。市谷左内坂リシヤというその子供は、女に化けるのが上手い化狸の一族の少年だった。誰にも知られないように、拾った不思議な石のことを調べたいと言うリシヤの希望を叶えるため四苦八苦する詞織とカイルだが、それは想像を絶する代物で――。和装美女の於戸姫に、子供に優しい産女も登場、そして、カイルが図書館を……辞める!? 人間でない利用者たちのために奮闘する、もののけ図書館物語、第2巻。


新宿にある少し不思議な図書館の物語、第二弾。
新宿在住だった作家ってこんなに居るの? 流石は大都会。新宿近郊だけでこんなにポンポン妖怪ネタが出てくるということは、それだけ記録が残っているということだから、そこにも江戸の文化の高さと文化人の多さを感じる。
という真面目な話は置いといて、図書館を任されている若いお二人ですよ。
はあああぁぁぁぁぁ、癒される。
素直で一生懸命で真面目過ぎるカイルと、頼られると頑張っちゃうお姉さんな詞織。この二人が醸し出すほっこりほのぼのな空気がたまらなく好き。お互いに足りないところを補い合いながらの仕事風景は微笑ましく、テンパりがちなカイルをおっとりした詞織が落ち着かせるゆったりしたテンポは心地いい。作中の季節は夏だったけど、二人の間だけ春みたい。
その二人が運営する図書館は、利用者を絶対に差別しない姿勢と他人の悩みを真摯に聞く態度が好ましく、居心地のいい空間になっていて、ずっとここに浸っていたい気分。
また、利用者の妖怪たちも癖はあっても気のいい義理堅い人たちばかり。詞織とカイルのする親切に「ありがとう」が返ってくる話は読んでいて気持ちが良いし、その親切が巡り巡って二人に返ってくるストーリーも美しい。
このコンビ本当に好き。まだまだ読みたいので是非続いて欲しい。あんまり続くと詞織さんが人間離れしていくかもしれないけど。