いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「会社員とJK、お隣さん歴1年目。」ナナシまる(角川スニーカー文庫)

彼女無しのサラリーマン・苺谷蓮太郎のアパートの隣室に、女子高生・花咲七葉が引っ越してきた。今どきなJKと社会人、ただのお隣さん同士で終わると思いきや――「カレー、良い匂いですね。私も食べたいなー、なんて……」「まあ、いいっすけど」きっかけはそんなふとしたこと。二人はよく言葉を交わすようになり――気が付けば、晩ご飯を一緒に食べることが日常になっていた。
「ねぇ、お兄さん。いい……よ?」「あはっ照れた? 今照れたよね?」隙あらばからかおうとする七葉と、ウザいと言いながらも面倒見のいい蓮太郎。
「ただいま」と「おかえり」がなんでもない日々を色づける、年の差日常ラブコメ!


お隣のサラリーマンの部屋に入り浸っている女子高生と、鬱陶しいと言いながらその子を憎からず思っているサラリーマンのお隣さんラブコメ
今、ウザかわいいが流行りなのか? それはともかく、
女の子(七葉)視点の描写がとても可愛らしい。
思わず揶揄いたくなってしまう相手の初心さと、自身の照れ隠しが合わさったウザ絡み。彼女の「大好き」という内心が行動にも地の文にもよく出ていてニヤニヤ度が高い。好きになった経緯がちゃんと描かれていて、背景がしっかりしているのも良かった。
一方、男(蓮太郎)視点はキャラクターがブレブレ。
七葉が近づくのを強く拒絶する時があれば自らスキンシップすること時があり、性に関していくら何でもというくらい無知かと思えば大人らしい分別と包容力を見せたり。結局彼は無頓着なのか気にしいなのか。精神年齢が子供なのか大人なのか。場面によって別人に思えた。
二人の視点で物語を書くなら、片方だけでなく二人のキャラクターをしっかり作り込んでほしいところ。ヒロインの恋する相手が魅力的でないと、ラブコメの楽しさが半減だ。