いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「金沢古妖具屋くらがり堂 冬来たりなば」峰守ひろかず(ポプラ文庫ピュアフル)

妖怪たちの古道具―古“妖”具を取り扱う不思議なお店「蔵借堂」は、店主を始め、店員も皆妖怪! 金沢に引っ越してきた男子高校生の葛城汀一は、普通の人間ながらそこでアルバイトをしている。クラスメイトで、実は唐傘の妖怪である時雨や汀一がひそかに思いを寄せる亜香里たちとともに驚きの毎日を過ごしていた。しかしある日、妖怪祓いをしている少年・小春木祐が現れて、くらがり堂にピンチが訪れる……!?
金沢の文豪・泉鏡花にまつわる怪異も登場!


古都金沢にある古道具屋を舞台に、人の世界に生きる妖怪たちの様子と人間と妖怪の友情を描く物語、第二弾。
2巻は秋から冬にかけての金沢の景色に泉鏡花幻想小説の世界が入り込み、1巻以上に情緒溢れる、どこか艶っぽい世界に連れて行ってくれる。そこで行われるのが、高1男子の等身大の友情というアンバランスさもこの作品の魅力かも。
それはそうと、お前らホント仲いいな。
人間の汀一と妖怪の時雨、1巻での出会い以降順調に友情を育んでいるのがわかって思わず顔がほころぶ。
「友達とは」を語ったり、お互いに持つ劣等感を共有したり、仲を深めるシーンがいくつもあったけれど、二人のやり取りに遠慮が入ることが少なくなっているところに一番仲の深まりを感じた。気の合う男二人で馬鹿やってる感を、純心で真面目な二人がらしい穏やかな形でやっているみたい。
そこに今回加わったのが学校の先輩で文学少年の小春木祐。 
亜香里に恋する汀一がヤキモキする相手としての登場ながら、生真面目な性格が汀一と時雨との相性が良くて、三人での会話も楽しく、絶妙な距離感の頼れる先輩といったところ。恋のライバルとしては力不足だったのはご愛敬。まあ当人にその気がないんだからライバルにはならないか。
2巻も優しさと青春を濃く感じられる物語だった。面白かった。



内容には関係ないけど、
ポプラ文庫ピュアフルのフォントが変わって読みやすくなってる。