いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「異世界転移、地雷付き。」いつきみずほ(ドラゴンノベルス)

チートのない異世界で、知恵と工夫の開拓記
チートはないが地雷スキルがある異世界に送られた学生たち。その中でナオ、トーヤ、ハルカの幼馴染3人組は、リアル中世風味のシビアな異世界生活を安定させ、安住の地を作るべく行動を開始する。お互いに協力して、モンスター退治に採取クエスト―英雄なんて目指さない! 現実的で集団だからこそ強くなれる、等身大のスローライフが今、始まる!


少し前暇な時に、なろうやカクヨム異世界転移/転生ものを物色していた中で、一番性に合ったのがこの作品。書籍版の続刊が危うい雰囲気なので応援の意味を込めて購入。
(自称)邪神様が用意した一見有用で派手なチートスキルを回避して、堅実なスキルでコツコツと。目指すは英雄でも勇者でもなく、安定した生活と不自由のない老後。そんな地に足の着いた異世界転移もの。食事やお金などの生活面やモンスターの脅威など適度にシビアで、それでいてそれなりに上手くいく。その塩梅が丁度いい。
作者の日々の鬱憤の晴らしたいのか、転生したら何でもかんでも上手くいく爽快感が売りのご都合主義の話。それを嫌ったとにかく厳しい仕様の主人公が可哀想な話。この両極端になりがちな異世界ものの中で、どちらもそこそこ入っている本作は気楽に楽しく読めるのが良い。肉汁たっぷりのお肉や激辛料理ばかりではいくら好きでも早々に飽きるのだ。
あとは、幼馴染み三人と後に合流する二人の気の置けない仲の良い友達の会話が心地よかったり、時々入ってくる雑学・無駄知識が面白かったりと色々あるが、最大の長所はヒロインのハルカ。
基本的に頭のいいヒロインが好きという個人的な好みもあるが、姉御肌で面倒見が良くて実は一途で、昭和のスーパーヒロイン南ちゃん(タッチ)が近いかなと。あだち充漫画大好きおじさんとしてはどこか懐かしさを感じるヒロインなのだ。
次はとりあえずもう二人と合流がメインイベントかな。ナツキも好きなヒロインなので彼女の登場が楽しみ。