いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「自炊男子と女子高生」茜ジュン(富士見ファンタジア文庫)

両親からの仕送りで一人暮らし中の大学生・夜森夕は、食費節約のため面倒くさがりつつも自炊を勉強中。料理が趣味とか特技とか、そういったわけでもないのだけど、ある日お隣に住む女子高生・旭日真昼(あさひ まひる)に、成り行きで手料理を振る舞ってあげたところ、「お兄さん」と呼ばれ妙に懐かれることに。しかも「私、あんなに“あったかいごはん”を食べたの、久し振りでした」と語る少女は、普段スーパーの惣菜やコンビニ飯ばかりの何やら訳アリ食生活らしく……?
時々、ただ一緒にごはんを作って、一緒に食べるだけ。
ほんの少しの日常の変化がゆっくり二人を変えていく――このラブコメは、等身大の優しい味。


食費の為に自炊している男子大学生と、親の多忙で一人暮らし状態の女子高生が、一緒にご飯を食べるお隣さんラブコメ
表紙が事案くさいと苦笑しながら読み始めたが、読んだらそんな考えは吹き飛んだ。ヒロインが天真爛漫を絵に描いたような子犬系ヒロインで、ラブの気配が一切なかった。というわけで「ラブコメ× ホームコメディ〇」←これが正解。
嫌々ながら仕方なく自炊している主人公・夕は、一緒に食べてくれて褒めてくれる存在が出来たことで、料理に対する興味とやる気が増していく。自身の不器用さと多忙な親から出来合いものばかりの食生活だった寂しがりなヒロイン・真昼は、手作りのご飯と誰かと一緒の食卓に、温かいご飯の有難さと食事の楽しさと覚えていく。
そんな風に、お互いに影響し合い寄り添いながらワイワイと食卓を囲む姿が、ちょっとこそばゆくてじわっとあったかい。
料理としては大したものを作るわけではないが、ザ・男の料理な想像しやすい味付けと、真昼の気持ちのいい食いっぷりで飯テロ力はなかなか。
ブコメとして読むと肩透かしを食うが、家族愛を感じる作品としてはとても良かった。


ヒロインの名前・シチュエーション・体育祭の出来事と、某天使様とほぼほぼ同じなのは、わざと寄せたのか偶々なのか。知っていて寄せるメリットが特にないから偶々だと思っておこう。でも、どちらにしてもプラス要素ではないな(^^;