いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん6」燦々SUN(角川スニーカー文庫)

生徒会の威信を懸けて行われる征嶺学園の学園祭。
全生徒がアーリャさんの劇的勝利に湧いた初日も終了し、秋嶺祭はいよいよ最終日に突入! 恋にコスプレにバンド演奏、最高潮の盛り上がりを迎えるかに思われた最中に大事件が勃発!?
何者かの策略によって学園祭が壊されようとする中、政近は陰謀を暴き騒動を治めるべくたった1人で動き出す――。
「俺を信じて、待っててくれ。必ず、ライブは決行させる」「ええ、信じてる」
思惑入り乱れる学園祭、政近はこの騒動を治めアーリャさんを輝く舞台へと誘えるのか!? 大人気ロシアンJKとの青春ラブコメ。波乱の学園祭編、クライマックス!


学園祭後編。
【悲報】征嶺学園、修羅の国だった。
前半こそエルフコスプレ(似合いすぎ!)なアーリャと浴衣な有希と一緒に学園祭の出し物を回る、清く正しい学園ラブコメの文化祭編が繰り広げられていたのだが、不穏な伏線とお坊ちゃんの企みが明るみになると、学園が犯罪行為と暴力が飛び交う無法地帯に。おまけにゲストのお偉いさん方の御意向が罷り通る治外法権っぷりまで発揮。
それでなくてもファンタジックな生徒会選挙なのだから、これ以上現実離れした要素を付け足さなくても。派手でドラマチックにしたいのは分からなくもないけれど、ファンタジー要素の無い現代劇で過度に現実とかけ離れられると正直萎える。
それと声を大にして言いたいのは「ライブどこいった?」
バンドのライブシーン本番、楽しみにしていたのにまさかばっさりカットとは。しかも、わざわざ政近が呼びつけた元バンドメンバーとどうなったか分からないままだし。あの懸命なメンバー集めと練習風景はいったいなんだったのか……。
ストーリーとしては、自分の事でいっぱいいっぱいだったアーリャが、少し周りに目を向けられるようになり、政近の事をもっと知りたい思うようになるターニングポイントになる話で、政近も練習曲作品10第3番『別れの曲』を弾くことで、過去の思い出とマーシャへの想いに区切りをつける、重要な回だったとは思う。
でも、基本可愛いアーリャさんと愉快な有希さんが読めれば満足なエンジョイ勢としては、そのどちらもが少なく物足りない。また、現代劇なのにあまりに話が現実離れしていたモヤっとする、ハイライトと予想していたシーンが何故かサラッと流されるなど、色々な方面で消化不良な巻だった。