いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「レプリカだって、恋をする。2」榛名丼(電撃文庫)

「ねぇ。しばらく私の代わりに学校行ってくれない?」
不気味なくらいに優しい素直の言葉が、私を惑わせる。オリジナルがやりたくないことを押し付ける身代わり、〈レプリカ〉には、手に入るはずもなかったもの。“ふつう”の学校生活を送る日々が訪れた。
文芸部の廃部の危機を救うため、奔走して。アキくんとの距離も、縮まって。そして――。
「ナオちゃん。わたしを見つけてくれて、ありがとう」
秋。私の好きな人と同じ名前をした季節に、忘れられない出会いをした。
第29回電撃小説大賞《大賞》を受賞した、純度100%の青春ラブストーリー。切なく胸を打つ第2巻。


秋。部屋に籠って何かしている〈オリジナル〉の素直に代わって毎日学校に行くことになった〈レプリカ〉のナオ。クラスの出し物に文芸部と演劇部合同の劇にと、文化祭準備真っ只中の学校を満喫するナオ。しかしその最中「この学校には、ドッペルゲンガーがいる」という不穏なビラが撒かれて……。

ああ、やっぱり良いなあ。
やり過ぎない程度に詩的でどこかメルヘンチックな可愛らしさがあって、ちゃんとキャラクターの心理が乗った情景描写。この地の文の美しさは他では味わえない。
また、地元民としては地元愛な静岡推しも濃くなっててよかった。新しい松坂屋の水族館は言われてみれば近隣の高校生には丁度いいデートスポットだろうなあ。おじさんはニュースでしか見たことないけどw
さて、肝心のストーリーの方は、
なんてところで止めてくれたんだ。
文化祭準備は忙しくて騒がしくも、楽しくて充実感が感じられた。ナオとアキの〈レプリカ〉だから殊更擦れてないピュアな恋愛模様は可愛らしいの一言だった。そんな満ち足りたシーンが多かったからこそ、急転直下なラストの落差が辛い。〈レプリカ〉たちの生い立ち上、束の間の瞬間が楽しく幸せで最高に輝いていればいるほど、その先に待ち受ける現実が切なくなるのは分かっていたけれど、そこまで落とさなくても、と思うくらい二段階三段階で突き落としてくる。
ここからどう展開するのかまるで想像できないけれど、ここまで執拗に落としたのなら、それ以上に上げてくれると信じてる。〈レプリカ〉の設定上ハッピーエンドはなかなか難しいと思うが。
納得のいくラストが迎えられるのか、着地地点が全然見えないので楽しみでもあり不安でもある。とにかく早く続きを。