いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「アルゴノゥト前章 道化行進 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚」大森藤ノ(GA文庫)

『アルゴノゥト』
『神の恩恵』など存在しなかった、古代初期を舞台にした物語。
今も数々の説話として受け継がれる、一人の男の英雄譚。歴代の英雄の中でも、圧倒的にひ弱で、冴えない英雄。しかし彼を『始まりの英雄』と呼ぶ者もいる。
何故、アルゴノゥトは『始まりの英雄』などと呼ばれるのか?
これは、とある滑稽な男の話。
不相応な望みを持ち、幾多の思惑に翻弄され、それでも愚者を貫いた一人の道化の物語。
さぁ、『喜劇』を始めましょう。


ベルがオラリオを目指すきっかけになった『英雄譚』。その真実が語られるダンまちスピンオフ作品。

え? これがベルや春姫やティオナが憧れる『英雄』なの? マジで?
戦闘力は皆無、あるのは運と逃げ足だけ。『道化』と呼ばれ『凡愚』と揶揄される、後の『英雄」アルゴノゥトの姿に動揺を禁じ得ない。
絶望が支配する世の中で常に笑顔でいることと、女性は笑顔でなくてはならないという志は買うが、口だけで運と他力とご都合主義で切り抜ける主人公がカッコイイとは流石に思えない。本人的には多少の計算はあるようだけど。
後世に伝わった英雄譚はどれだけ美化されているんだろう。歴史は勝者が作るとはこういうことか(←たぶん違う
これがサブキャラならば、物語を動かすトラブルメーカーとして、シリアスの一服の清涼剤として重宝されるキャラクターになるのだろうけど、主人公としては失格もいいところだろう。
と、ボロクソに行っているのはこういうタイプの主人公が個人的に苦手だからというのもある。正直、ところ構わずなハイテンションについて行けない。
戦闘は常に他力本願ばアルと真面目に強くなろうと努力し続けるベル。女性とあらば突っ込んで行くアルと無自覚女たらしで本人は逃げ腰のベル。これを比べるのはむしろベル君に対して失礼じゃないか?
姫様や妹のその後、美味しいところを持っていったヴェルフのご先祖様の動向は気になるが、本気で苦手なタイプの主人公なので後編をどうするかは悩むところ。