いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「豚のレバーは加熱しろ(8回目)」逆井卓馬(電撃文庫)

ジェスと一緒にいたい。離れたくない。だが、現実逃避し続けることもできない。
王朝と解放軍の亀裂は深まるばかりで、シュラヴィスはノットに決闘を挑んでしまった。間に立てるのはジェスと俺だけ。なんとしてでも戦いを止めなければ!
奔走するうちに解き明かされていく、これまでの謎と大きな秘密。真実をかき集めて辿り着いた『解決法』は……あまりに重い決断が必要なものだった。それでも俺は、ジェスのためなら……。
豚と少女の恋物語に訪れた大きな分岐点。二人で歩いてきた足跡を辿りながら、俺たちの、最後の旅が始まる。
「豚さん、大好きです」


今度こその旅の終わり。とても、とても愛が重い物語だった。
新たな王の乱心と国を割る戦争の危機に直面する緊迫した世界情勢の中、橋渡し役として各地を駆けずり回る豚とジェスの二人旅。当然二人にも悲壮感が……うん、イチャイチャしていますね。かなり高密度に。こんなのに諭されるシュラヴィス君とノット君が可哀想だ(おい
まあそれも仕方がない。本題はそこではなく、仲介の過程で明らかになるジェスとこの世界の秘密の方だったのだから。
3度目に豚が復活した理由、ジェスが隠し通したかった秘密が明らかになると、一気に濃くなる二人の別れの気配。
そして始まるジェスの暴走。ああ、ジェスたそ。すっかりヤンデレ少女になってしまって。でも8巻目(8回目)にして三度目の大きな別れは流石に多い。ジェスの愛が重くなって病んでいくのもやむなしだ。
と、キャラに似合わない過激な愛情表現だったので、ジェスの愛が重い話を感想のメインにしようと思っていたら、、、豚の愛も重かった。
4ページ分、びっしりと言葉が埋められたジェスをシュラヴィスに託す言葉と、その直後の見開きに所狭しと並べられた二人の思い出のポートレート。懇切丁寧な取扱説明書のような台詞が、相手の全てが好きだと全力で訴える愛の告白の様。なんだよ、この涙無くしては読めないラブレター。ズルいわこの豚。
豚とジェスの“異世界での”物語はこれで終わり。
でも、ジェスの愛の重さが天元突破してしまったがために、もう一冊分物語が続くようで。次回、最終巻(n回目)。今度こそジェスが幸せに笑いますように。