いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「りゅうおうのおしごと! 盤外編1」白鳥士郎(GA文庫)

りゅうおうのおしごと! 盤外編1 (GA文庫)

「師匠! 私たちの短編集です!」
「今や入手困難な店舗特典SSを収録した貴重な本だぞ」
「八冠……じゃない、八巻までのSSですね!」
「そらからドラマCD脚本を小説化した長めの作品も収録してる。本編には入れづらいキャラが出てくるから今まで収録をためらっていたが……」
「どなたですか?」
「雷」
「ああー……」
「あとは、あいが家を空けた隙にシャルちゃんと姉弟子がメイドになって俺のお世話をしてくれる完全書き下ろし小説も入ってる」
「師匠のだら! どうしてその作品の収録はためらわないんですかー!」


8巻までの店舗特典小説や特典ドラマCD脚本の小説化などを集めた短編集。
1巻2巻の特典小説を読んで驚いた。このシリーズはこんな最初期から「将棋とコンピューター」がメインテーマだったんだ。今は突き抜けてSFみたいになっているけど、その土台はちゃんと初めからあったんだなって。
その後の短編はロリネタとあいのヤンデレネタに終始する、いつもの調子のコメディパートに。
刊行毎に書かれたもので本来は間が空いて読まれるものだから、似たような短編が集まっているのは当然なのだけど、申し訳ないが一気に読むにはテンションが高くてくどいな、と。「将棋めし」の話題くらいストレートに飯の話だけしてくれれば良かったのに。折角メインキャラの出身地がバラけているんだから。
そんな中、クズ、万智、燎の感想戦メンバーで送る8巻の特典短編は安心安定の面白さだった。半分冗談半分本気の万智の色仕掛けに、ヤンキーデレの燎、頓珍漢回答の朴念仁八一の仲良しトリオ。気心の知れた幼馴染みたちの気安くてテンポの会話が心地いい。八一がロリネタで弄られても変に暴走しないのもいい。
後半のドラマCD小説家の方はシャルちゃん無双。
いや、マジで強いなこの子。あの姉弟子が八一以外にこんなに優しい姿見せたことが他にあったか?