いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



今年のお気に入り

今年の読んだ本は




115冊(漫画雑誌等除く)でした。




なんとか100冊はクリア。
約40冊減(一昨年)→約30冊減(去年)→約10冊減(今年)と減少数は落ちているが……。


今年も新刊情報で似たようなタイトル、似たようなあらすじばかりを見てげんなりすることの多い一年だった。ラノベに限らず出版業界が売れた作品に右に倣えが年々酷くなっていると感じているので、今後も読書量が増えることは無さそうかな。
そんな現状の中、タイトルやあらすじで興味を持たせてくれて実際に面白かった今年の推し作品をいくつかご紹介。




「冬にそむく」石川博品ガガガ文庫

冬にそむく (ガガガ文庫 ガい 10-2)


コロナ禍の世の中を「冬」の寒さと雪に例えて「今」を表現した作品。
家から出られない閉塞感や未来が見えない終末感を雪と曇天の灰色の世界で美しく表現し、そんな世の中に順応し生きる若者達に人間の力強さと儚さの両方を感じられる。
美しく雰囲気のある灰色の青春小説が自分の好みにドストライク。今年の最推しです。



「レーエンデ国物語」多崎礼講談社

レーエンデ国物語 レーエンデ国物語 月と太陽 レーエンデ国物語 喝采か沈黙か


死の病を撒く恐ろしい土地でありながら神秘的で美しいレーエンデの森を中心にした、この世界で生きる人たちの生き様を描く本格ファンタジー
権力者に虐げられる人々、人種差別を受けている民族。そんな弱者の中から現れるその時代の革命者たちが理不尽に抗う姿に魅せられる。革命をテーマにした物語なので胸が痛く先を読むのがしんどいと思う時もあるけれど、それでもこの世界に引き込まれ、他では味わえない没入感を感じさせてくれる傑作。



「レプリカだって、恋をする。」榛名丼(電撃文庫

レプリカだって、恋をする。 (電撃文庫) レプリカだって、恋をする。2 (電撃文庫) レプリカだって、恋をする。3 (電撃文庫)


今年の新人賞の一番手。
自分のコピー〈レプリカ〉をテーマにしたSF(少し不思議)青春ラブストーリー。
切ない物語を彩る詩的でどこかメルヘンチックな可愛らしい地の文と、ちゃんとキャラクターの心理が乗った丁寧な情景描写、そして溢れる静岡愛が魅力。3巻で急展開を見せて今後が楽しみな作品でもある。
最近は特徴のある地の文の作品が少ないので、こういう作品がもっと出てきてほしい。




「獄門撫子此処ニ在リ」伏見七尾(ガガガ文庫

獄門撫子此処ニ在リ (ガガガ文庫 ガふ 6-1)


新人賞作でもう一作。
京都を舞台にした現代怪異アクション。
怪異との戦闘はどれも血生臭く、血が苦手な自分としては好みとは外れるのだけど、それを大きく上回るキャラクターの魅力と濃い人間描写。二人のヒロインの魂と魂のぶつかり合いに圧倒された。
全盛期のライトノベルを思い出させてくれる傑作だった。



「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」佐伯さん(GA文庫

お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件8 (GA文庫) お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件8.5 小冊子付き特装版 (GA文庫)


なんだかんだでやっぱり面白いお隣さんラブコメ
付き合い始めてまだ数ヵ月で、すでにイチャイチャ熟年夫婦のような周と真昼。二人セットでかわいい。二人だから尊い
そんな二人をニマニマしながら見守って幸せをお裾分けしてもらえる。この作品を読んでいる時間は常に幸せ気分。



「おいしいベランダ。 亜潟家のポートレート竹岡葉月富士見L文庫

おいしいベランダ。 亜潟家のポートレート (富士見L文庫)


幸せ気分でもう一冊。
本編は完結した『おいしいベランダ。』の後日談第二弾。そういえばこちらもお隣さんラブコメだった。
妊娠期間ですら楽しみを見出すまもりのポジティブさ、見習いたい。おかげで相変わらず忙しくドタバタしていても、ハラハラすることなく二人の幸せな結婚生活を覗いていられて、気兼ねなく幸せ気分に浸ることができた。やっぱりこの夫婦大好きだ。




以上!



今後流行りは移ろっても、売れた作品の類似作が溢れる流れは変わらないだろう。
だからこそ来年はそういう流れに抗う個性溢れる作品に一冊でも多く出会えることを願っている。

それでは皆様、良いお年を。