いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



図書館戦争

図書館戦争有川浩メディアワークス
オンライン書店ビーケーワン:図書館戦争

──公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。
超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館! 狩られる本を、明日を守れ!
敵は合法国家機関。
相手にとって、不足なし。
正義の味方、図書館を駆ける!

メディア規制三法をさらに極端にしたような法律『メディア良化法』が成立してしまった世界で繰り広げられる、図書館とメディア良化委員会の攻防(ドンパチあり)を描いた物語。正義が悪と戦う痛快エンターテイメント。


何だこのめちゃくちゃな世界は!・・・でも面白い!! というのが率直な感想。


悪を悪らしく描いて正義を引き立てたり、落としたり持ち上げたり、ちょっとしたことでも物事を強調するのが実に上手い。
『メディア良化法』の不条理さには腹が立つし、良化委員会の理不尽な行動はムカつく。でもそのおかげでそれらの悪を相手に奮闘し勝利していく図書館防衛員の姿が実に痛快。また、作中で「正義の味方じゃない」と繰り返したり、“大人の事情”を盛り込むことによって、逆に「正義の味方」を強調していたりしている。
キャラも魅力的。不器用なキャラの表現の上手さは今までの作品でも魅せられてきたけど、不器用なキャラが多く出てくる話はこれが始めて。不器用なキャラの表現が天下一品な作者が描く、不器用な人達が感情むき出しでぶつかり合う人間ドラマはもう最高。恋愛の面でも、これまでの「塩の街」「空の中」「海の底」では男女どちらかが不器用だったのに対して、今回は不器用×不器用という組み合わせ。この組み合わせがなかなか新鮮で、衝突ばかりしている二人の姿が微笑ましい。さすがにこの組み合わせだと進展するのに時間がかかりそうだけど、それだけ次巻以降の楽しみが増えるからいいかな。