「〈本の姫〉は謳う2」多崎礼(C★NOVELSファンタジア)
病に倒れた母のため、一度は捨てた故郷へ、七年ぶりに〈姫〉と帰るアンガス。記憶を失い、やがては死に至るいう〈忘れ病〉は、母だけでなく、すでに町全体を蝕んでいた。初めて見る不吉な病に文字(スペル)の気配を感じる二人だが――!? 一方、バニストンで彼の帰りを待つセラに、エイドリアンは語り始める。アンガスの過去を、そしてその背負う運命を……。シリーズ急展開!
現在(人間の世界)と過去(天使の世界)が同時進行で展開する冒険ファンタジー。今回はエイドリアンと本人の口からアンガス(主人公)の過去が語られる。
確かにあらすじには急展開とは書いてあるが・・・。
予想をはるかに上回る急展開ぶり。これほど早く現在と過去が交差するとは思ってもみなかった。さすがに駆け足過ぎる気もするが、でもやっぱり面白い。
相変わらず現在と過去のリンクのさせ方、距離の縮め方が非常に上手い。また今回は同時進行している現在と過去のリンクだけでなく、現在と現在の中の過去(アンガスの過去)と過去(天使の世界)が絡み合っていたり、1巻の現在と2巻の過去がリンクしたりと複雑さを増している。それを読み解くだけでも面白い。
それに1巻ではどちらかというと情報だった過去の話が、個性的なキャラが出てきたり“俺”自身の自我も強くなっていたりで、ちゃんと物語になっているのが嬉しいところ。
あとキャラで言うなら断然セラ。あのセラの性格は予想外だった。うん、ギャップ萌えっていいよねw
1巻をしっかり憶えてないと間違いなく置いてけぼりを喰らうので、自身のない人は1巻を読み返してから読んだ方がいいかも。ちなみに私は1巻の終わりがすっぽり抜けていたので冒頭20頁くらいのところで1巻に戻りましたw
〜ネタバレチックな独り言〜
意外なところでアンガス生存エンドのフラグが立った。大団円とはいかないまでも、ある程度のハッピーエンドは期待できる?