いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



月色プラットホーム (一迅社文庫 み 2-1)

「月色プラットホーム」水口敬文一迅社文庫
月色プラットホーム (一迅社文庫 み 2-1)

片田舎を走るローカル鉄道・志ノ崎電鉄には、終電もとうに終わった深夜に、彼岸の幽霊たちをこの世へ運んでいる「幽霊列車」が出るという……。
そんな噂はこれっぽっちも信じていなかった高校生・園崎匠海だったが、幼馴染みの少女・綾芽に引きずられる形でやってきた深夜の駅で、本当に「幽霊列車」と遭遇してしまう。
ドジな車掌少女・紗月を放っておけなかったこともあり、「幽霊列車」の業務を手伝うことになってしまった匠海だったが……。


良質ハートフルストーリー。
なんと言ってもキャラクターがいい。それぞれ個性はあれど心根は正直で優しい人たちばかり。その正直さゆえにやってることがわかりやすく、見え隠れする本心が切なくかったり微笑ましかったり。また、そんなキャラたちが作る作品の雰囲気が優しくて心温まる。
中でも紗月と綾芽が明るさがいい。
主人公である匠海の心が沈めば作品の雰囲気も暗くなるのだが、紗月の明るさと綾芽の元気で救われる。ただ、等の匠海は朴念仁で気づいてないのだが・・・。
正直、匠海の朴念仁は度が過ぎてるよなぁ。あれだけ言われて毛ほども気づかない匠海の鈍さはありえないと思ったが、これは続刊(つぐみ参戦)への含みか? 何にせよ綾芽が不憫でならない。
何はともあれ、こういう奇をてらわないストレートなハートフルストーリーは久々に読んだ気がする。いや、良いものを読んだ。