いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



黄昏色の詠使いX 夜明け色の詠使い (富士見ファンタジア文庫)

黄昏色の詠使いX 夜明け色の詠使い」細音啓富士見ファンタジア文庫
黄昏色の詠使いX  夜明け色の詠使い (富士見ファンタジア文庫 さ 2-1-10 黄昏色の詠使い 10)

“わたし、キミが助けに来てくれるのを信じてる”
名詠式の秘密や、世界の成り立ちなんて関係なかった。クルーエルさんが僕を守るために、世界から消えてしまったから。今度は、僕が彼女を迎えにいく。クルーエルさんが調律者〈ただそこに佇立する者(ミクヴェクス)〉へと還り、名詠式は世界から失われた。世界中が混乱する中、アマリリスが残した手がかりを元に、ネイトはセラの塔へと向かう。目的はただひとつ。この世界に、クルーエルを取り戻すために。
互いに求め合う少年と少女は、再び出逢えるのか? 詠う召喚ファンタジー、“これが、君のもとへ続く詠”。


バ、バカップルがおるw
でもこの二人なら許せる。
これまで苦労に苦労を重ねてきた二人だから、イチャついててもニヤニヤというよりホッとする。前巻の終わりのクルーエルの想いに全力で答えたネイト。そのネイトの強い想いや成長をこれでもかと見せ付けられた後だし。
優しい気持ちを抱かせてくれる不思議なバカップルだなぁ


と、そんな予定通りのハッピーエンドを迎えた最終巻は、この作品の最後に相応しい真っ直ぐなストーリーで優しさに満ち溢れた話だった。特にミクヴェクスの世界のシーンは昭和のアニメのような古めかしさを感じるが、それが驚くほどこの物語に合っている。この物語のここまであった優しさを凝縮させたようで自然と涙が出た。
不満があるとすればシャオの扱いか。アルヴィルやテシエラの戦いはあんなに丁寧に描かれているのに、これまでラスボス然としてきたシャオの出番があれだけだったのは拍子抜け。ネイトがシャオを論破して勝利(クルーエル)を掴むものだと思ってたのに。
でも、何はともあれ二人が幸せそうで良かった。それだけで胸がいっぱい。


優しくて切なくてよく泣かされたシリーズもこれで終わりか。折角だから幸せそうな二人をもう少し見ていたい気もするが・・・。
繋がりのある世界観で新シリーズが出るようなのでそちらに期待。