いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精」三川みり(角川ビーンズ文庫)

シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫)
シュガーアップル・フェアリーテイル 銀砂糖師と黒の妖精 (角川ビーンズ文庫)

人間が妖精を使役する、ハイランド王国。少女アンは、一流の銀砂糖師だった母を亡くし、あとを継ぐことを決意する。銀砂糖師とは、聖なる砂糖菓子をつくる特別職のことで、王家勲章を持つものしか名乗れない。用心棒として、美形だが口の悪い戦士妖精のシャルを雇い、旅に出たアン。人間に心を閉ざすシャルと近付きたいと願いつつ、王都を目指すけど……!?

男向けレーベルが強いラノサイ杯で少女レーベルながら12票獲得した作品。



妖精がいる世界、(少し特殊だけど)砂糖菓子職人を目指す少女の物語と、少女小説らしい可愛い世界観を持ちつつも、裏切りや甘くない現実と、ただ甘いだけじゃない内容が好感触。また、主人公のアンと護衛の妖精シャルの心理描写も丁寧なのもいい。ただ、シャルに関しては心を許すに至ったところが分かりにくいのが残念か。ちょっとデレるの早すぎたね。
そんなことよりも何よりもラストが良かった。
胸がスッとした。素晴らしい爽快感。
奴は初めからうざいうざいと思いながら読んでいたから、中盤はハラハラではなくて、後半に起こるであろうことを想像して思わずニヤリとしてしまったもの。それでもこんなに綺麗に決めてくれるとは。アンGJ!
面白かったし、アンのはっきりした性格も好きなので、次があるみたいだから注文しよう。