いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「こうして彼は屋上を燃やすことにした」カミツキレイニー(ガガガ文庫)

こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫)
こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫)

彼氏にフラれた私・三浦加奈は、死のうと決意して屋上へ向かう。けれどそこで「カカシ」と名乗る不思議な少女、毒舌の「ブリキ」、ニコニコ顔の「ライオン」と出会う。ライオンは言う。「どうせ死ぬなら、復讐してからにしませんか?」そうして私は「ドロシー」になった。西の悪い魔女を殺すことと引き替えに、願いを叶える『オズの魔法使い』のキャラクターに。広い空の下、屋上にしか居場所のない私たちは、自分に欠けているものを手に入れる。第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞。心に残る青春ジュブナイル


真っ当な青春小説。
普通。
あのガガガ文庫の大賞作品、しかもこれの前にインパクトの強い優秀賞作品を読んだものだから、どんなものが出てくるかと身構えていたのが悪かったのか“普通”という感想しか出てこない。


少々演出過剰かなと思うところ(主に後半)はあるものの、『オズの魔法使い』のキャラクターになぞらえて、それぞれの心の傷を癒していくストーリーは綺麗で、スッと入ってくる感じで読みやすい。
でも、なんだか物足りない。
あっさりしすぎだったのか、それとも話の内容のわりに4人が後ろ向きであまり感情移入できなかったせいか、切なく優しい物語なのに涙腺を刺激するところまでは至らなかった。
優秀賞と違って好きなジャンルだったはずのに、イマイチ盛り上がらなかった。