GOSICKs IV ゴシックエス・冬のサクリファイス (角川文庫)
クリスマス前日、聖マルグリット学園は、最大のイベント“リビング・チェス大会”の準備で騒がしい。そんな中、いつものように独り読書にいそしむヴィクトリカ、彼女の退屈を追い払うため図書館塔を上る一弥――グレヴィールの初恋、アブリルの思い、ブライアンとブロワ侯爵の静かな戦い、そして――降りしきる雪の中解き明かされるのは、それぞれの“秘密”――名コンビ最後の平穏な日々を描く、大人気ミステリ外伝。
リビング・チェス大会で盛り上がるクリスマス直前の学園で、それとはあまり関係ない昔の小さな事件が語られる短編集。グレヴィールの髪型の秘密や、いつも手を繋いでいる部下の秘密がついに明かされる・・・って、これ前にもどこかで語られてなかったっけ? 気のせいかな。
短編集に似合わない寂しげな雰囲気。
祭りの騒がしさとヴィクトリカと一弥の周りの静けさの対比や、生徒の帰郷など別れを感じさせる言葉の数々など、あちこちに大戦の影と終わりの気配が漂っていてる。なので、ヴィクトリカ他が話す過去の小さな事件を楽しむというよりは、ヴィクトリカと一弥が楽しげにおしゃべりしていたり、セシル先生とゾフィがじゃれあっていたりという、小さな幸せを噛みしめる方がメインなように思える。
最後の短編集は短編らしく軽く楽しい雰囲気を味わいたかったが、時代がそうさせてくれなかったか。
やっぱり挿絵が欲しいな。
泣いているヴィクトリカとかなかなかのレアシーンなのに。