いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔弾の王と戦姫3」川口士(MF文庫J)

魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3 (MF文庫J)
魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉 3 (MF文庫 J か 11-3)

テリトアールに陣を進めたティグルたち。そこに、ガヌロン公爵の配下、グレアスト侯爵が現れる。不躾な恭順命令を断るも、エレンへの執着を隠そうともしないグレアストに、ティグルは内心穏やかでない。間をおかずして、ティグル討伐の任を受けたナヴァール騎士団が出現し、事態は急変する。団長は、ブリューヌ最強の騎士ロラン。戦姫の技すら破る“不敗の剣”を前に、ティグル軍はかつてない危機に陥ってしまう。“光華の耀姫”ソフィーヤの助けで辛くも窮地を逃れるのだったが、エレンを庇った傷でティグルが倒れてしまい……!? 血風と光波が戦場を駆け抜ける刻、黒き魔弓は解き放たれる! 大人気美少女バトルファンジー、心を射抜く第3弾!

まずは3巻の壁を超えられたことに一安心。



まだまだ増える登場人物にどんどんと窮地に立たされて行くティグル達と、物語が広がり加速していく3巻。
いわゆるフラグ立ての割合が多い話だったが、このシリーズの売りである戦は健在。前半は戦術重視で、後半は個の戦い。今回は後者が熱かった。
その理由は敵将ロラン。今まで同じ戦姫以外では敵なしだったエレンより強いという初めての強敵にして、信念のある熱い男で、表紙でもあり初参戦でもあった戦姫ソフィーヤを空気にしてしまった圧倒的な存在感。
そんな相手に対し、我らがティルグの弓の化け物ぶりを遺憾なく発揮してくれる。エレンの窮地に颯爽と駆けつけたり、剣の相手と真っ向から力勝負してしまったりと、文句なしのカッコよさ。でも、弓の奇襲性能にこのパワーはズルいなとちょっと思ったw
そんなティルグがパワーアップしつつ、今後にも繋がりそうなファンタジーらしいシーンなどもあり、戦記物としてもファンタジーとしても読み応えのある一冊だった。その分、ラブコメ少なめで今までよりさらに地味な印章もあるのは事実だが。
この先ますます面白くなっていきそうで楽しみ。反面、ここまで風呂敷を広げてしまって大丈夫?という思いも少々ある。