美術高校で起こる幽霊騒動、少女たちの密やかな駆け引き、名門男子校にやってきた入寮生が招く事件、個性派家族の夏休み。舞台は「寮」、404号室が「あかずの間」、事件発生から解決まで7日間――3つの共通設定を使って、『インディゴの夜』の加藤実秋、『文学少女』シリーズの野村美月ら豪華執筆陣が仕掛けるとびきりのミステリー。
ミステリとして読めるのは『三月の新入生』だけ。『桃園のいばら姫』は愛憎劇として面白い。後の二つは……。
『聖母の掌底突き』谷原秋桜子
ただの犯罪です。本当に(ry
主人公は元ネトゲ中毒のやる気なし、先輩は罪の意識なし、最後に下ネタと大人の汚さまで見せられて読んでいて胸糞が悪いったらない。
『桃園のいばら姫』野村美月
うわー病んでるわー怖いわーなんて思いつつ読んでいたら、後半の二転三転に驚き、少女たちの抱えているものに切なくなる。この短さで女の子だけでここまでドロドロにしてくるとは。“文学少女”の作者、流石の愛憎劇。
……ミステリどこ行った?
『三月の新入生』緑川精次
そうそう、あらすじを読んでこういうのが読みたくて買ったんだよ。(まあ、野村美月の名前に惹かれたのもあるけど)
寮内の死亡事件、さり気ないヒントに筋が通った推理、少年たちの友情、青春ミステリーアンソロジーの模範解答のような作品。他が変化球ばかりなので何故だかほっとする。
『マジカル・ファミリー・ツアー』加藤実秋
いくら尺が短いといっても展開が強引でご都合主義すぎる。読者が推理する余地なし。
あとはTPOをわきまえてくれない家族に辟易したり、なんで好意を持たれたのか分からない美咲の行動に首をひねったり、迂闊すぎる犯人に苦笑したり、、、まあ要するに楽しめるところはまるでなかった。