いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「スメラギガタリ弐 〜外道陰陽篇〜」宇野朴人(メディアワークス文庫)

スメラギガタリ〈2〉外道陰陽篇 (メディアワークス文庫)
スメラギガタリ〈2〉外道陰陽篇 (メディアワークス文庫)

反乱の首謀者として陰陽寮に身柄を拘束され、裁きを待つ身となった在野の陰陽師・芦屋道代。だが、思いもよらぬ発言で仮釈放の特別措置を引き出す。三枝介や幾多郎、さらには陰陽寮からの監視役を伴って彼女が向かった先は、自らの故郷である芦屋道満に縁の地。一方、そんな道代の後を追って帝都を出奔した夜統は、旅先で雨宮潤という霊媒の少女と出会い、平安の世に名を馳せた二人の大陰陽師へと繋がる雨宮家の宿業に踏み込んでいく。だが、その夜統の後を追って澄香内親王殿下までが皇居を抜け出したことで、多忙な晴見の心労は続々と重なり……。疾風怒濤の第二幕、開演!


1巻を超える500ページ超のボリュームで語られる現代の陰陽師、第二弾。
1巻同様の多人数視点で誰もが主人公のように書かれる形式は一緒だが、今回は荒れ狂う龍神を倒す共通の目的があるので、思惑が絡み合うというよりは即席のチームが上手く力を合わせて神と対峙するアクションシーンが読みどころ。
と言いたいところだが、実はそこまで行く過程の方が面白かった。
まずは将門公の叱咤によって復活した夜統を巡る女の子の意地の張り合い。どう読んでもラブコメです。ありがとうございますw 一級の恋する乙女な殿下相手に堂々と渡り合う潤の女の子力に感服。
もう一つは芦屋道満の昔話。誠実な好青年な道満と遊び心が過ぎる清明という、既存の陰陽師ものではまずない組み合わせが新鮮で面白い。
最後は今回はどちらかと言えば表側だったのに影が薄かった道代がここだけ活躍して、これにて一件落着!……って、なに!!?
まさかまさかの急展開。一番しそうにない人物の謀反にそれまでの全てが吹き飛ぶような衝撃が。そうかタイトルの「スメラギガタリ」って「皇騙り」か! ということは次から本線突入? 
これは続きが気になる。とりあえずすみちゃんの号泣からスタートかな?