いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会」青柳碧人(ハヤカワ文庫JA)

ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会 (ハヤカワ文庫JA)
ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会 (ハヤカワ文庫 JA ア 7-1)

幹館大学ヘンな建物研究会、通称「ヘンたて」に入会した新入生の中川亜可美。個性豊かな仲間と一緒に新歓合宿で訪れた先は、扉が12枚ある離れを持つ老舗旅館だった。さらに高さ100メートルのエレベーター式マンション、城跡に残された隅櫓脇の謎のスペース、客室に回転ずしが流れるホテルなど、活動と称して見にいく建物は常にいわくつきで……。
「へんたて」に隠された謎をゆるやかに解き明かす、新感覚の青春ミステリ!


タイトルに惹かれて購入したら日常ミステリも付いてきた。ラッキー。
おっとりで泣き虫な女性主人公・亜可美が醸し出す雰囲気と、ヘンテコな建物で繰り広げられるゆるいミステリで、全体的にのんびりまったり楽しめるのが良いところ。
また、「ヘンたて」の他のメンバーも、それぞれに一長一短で長所はなかなか凄かったりするのに、短所が残念で目立つものだから愛嬌がある。そんな彼らのやり取りはまさに和気藹々といった感じでほっこりする。
ただ、後半の恋愛模様は要らなかった気がする。
一、二話と変な建物と軽いミステリが主体で面白かったのに、三話の途中から亜可美がそちらの方にばかり気を取られてしまって、建物と謎がおざなりになってしまっているのが残念。特に最後の2ページ分は絶対要らない。これならあからさまに「続く」にしてくれた方がいい。
そんなわけで、前半はかなり面白かったのだけど、尻すぼみで読後感はあまりよろしくない。続きを出してスッキリさせてくれ。



作中に出てくる居酒屋「ローマの平日」がネーミングセンスといい店の作りといいすっごい好み。行ってみたい。