いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「S.I.A. ―生徒会秘密情報部―」長月渋一(電撃文庫)

S.I.A. ―生徒会秘密情報部― (電撃文庫)
S.I.A. ―生徒会秘密情報部― (電撃文庫)

引きこもってネット三昧だった麻波守貴。受験合格を機に、過去を払拭し高校デビューだ!
……と試みた刹那。
謎の美少女率いる『生徒会情報部』に連行された。そして彼の眼前に、生徒会会長閣下・遊氏茉絢が現れる。
恐怖のあまり取り乱す守貴に、彼女が下した『極秘指令』とは――。
ファイル共通(P2P)ソフト『MX』『NY』の後継版、脳内情報共有システム『OZ』に制御されたエリート校に『学生諜報員』として潜り込め。
スパイとしてのスパルタ特訓を受けさせられ、強制的に学園に侵入することになった守貴。彼は、そこで存在を消されてしまった少女と運命の出会いを果たし──。
学園アクション登場!

舞台は近未来の日本。近年急激な偏差値アップを果たした怪しい進学校に、その謎を探るべくエリート校からエージェントが送られる。そのエージェントに選ばれたのは元ひきこもりの少年で――。
という話だった、初めのうちは。ライトノベルらしく少々の不思議能力は付いているものの、割と普通に諜報活動をしていたはずなのに、、、
それがいつの間にかSFにすり替わっていた。
SFは好きだし、話が予想外の方向に行くのもただ予想通り進んでいくよりずっといい。但し、それが生かされていればの話。
前半も説明台詞が多めだったのに後半にもSF設定の説明がかなりあるので、結果全体的に説明ばかりで話が堅苦しくて流れがない。また、背景はやたらとスケールが大きいSFなのに、生身でやってることは子供の喧嘩に毛が生えた程度というズレに白ける。そんな知識や能力があるなら他のやり方がいくらでもあるだろうに。
ヘタレ少年が成長して囚われの少女を助けるというハズレのないストーリーのはずが、設定をゴテゴテと付けすぎたせいで、達成感や青春という王道ストーリーの大事の部分を消してしまった残念な作品。