いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。4」左京潤(富士見ファンタジア文庫)

勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。4 (富士見ファンタジア文庫)
勇者になれなかった俺はしぶしぶ就職を決意しました。4 (富士見ファンタジア文庫)

勇者試験直前も魔王が倒されてしまい勇者になれなかった少年ラウル、父親である魔王が倒されて居場所が無くなった魔王の娘フィノ、ラウルの勇者予備校時代のライバル・アイリの三人は、王都にあるマジックショップで一緒に働いていた。ある日、ラウルの妹・ミュリが上京。……まさかの職場見学! しかもミュリはラウルが勇者になっていると信じていて……。
「勇者のお仕事って、もっと、派手だと思ってた」
「へっ?」
「勇者って、ただ、戦うだけじゃないんだね」
勇者と魔王の卵が織りなすハイテンション労働コメディ!!


あれ? 遊園地のガイドは無関係? 成金クレーマー氏も無関係? 予想外だ。
ガイドの方は絶対犯人の一味だと思ったのに。あの言動がフラグじゃなくて、ただのお茶目で現金な元勇者のバイトだったとは。
フェノの斜め上発言+バイトのぶっちゃけトークのボケとラウルの勢い任せのツッコミ+アイリの冷静なツッコミの四重奏。魔王城を模したアトラクション内のこれが今回一番面白いところだっただけに、どこかで仕掛けてくるんじゃないかと身構えながら読んでしまって、ちょっと損した気分。


さて、今回のメインは前回のラストでやって来たラウルの妹・ミュリ。
って、目立たないなーこの娘。無口で自己主張がない上に、ラウルの目がフェノやアイリの方に向くことが多いからか。妹よりも他の女の子ってのはある意味リアルだけど。
でも、彼女のおかげでラウルの苦悩や兄妹愛という、苦労譚でハートフルなこのシリーズらしい話になった。
まずは前回の水着回の変な空気を払拭してくれて一安心。それにラウルが妹を助け出すときの姿は素直に格好良かった。どんなに自分が危険でも真正面から叩き斬る、やっぱりラウルはこうでないと。
それはそうと、巻を重ねるごとにラブの要素が薄くなっているような……ハイテンション労働コメディだからいいのか。でも労働も薄くなってるような……こっちはいいのか?
でも次回はvs大型店舗編の模様なので、がっつり商売&バイトの苦労話に期待。