いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法学園の天匙使い」小泊フユキ(このライトノベルがすごい!文庫)

魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い (このライトノベルがすごい! 文庫)
魔法学園(マギスシューレ)の天匙使い (このライトノベルがすごい! 文庫)

スプーンを使った魔法「スプーン天匙」の伝達者であるブルンは、ブロックス魔法学園の生徒。学園での成績は第6位だが、魔法のマイナーさと地味さで影の薄い存在だった。そんな彼はもっと強くなるために友達3人と様々な計画を立て、間近に迫る『闘宴会』で勝ち進もうと意気込む。しかし同じ頃、学園には不穏な影が忍び寄っていた。第4回『このライトノベルがすごい!』大賞、初の金賞&栗山千明賞をW受賞! オンリーワンの学園ファンタジー登場!


栗山千明賞とは親和性が高いと思ってたんだが、今年はちょっと……。
スプーンで魔法を使うという発想は奇抜で呪文の文句なんかも面白い確かなんだけど、残念ながら出オチや一発ネタ以上のものがない。
なんで素直に武術大会しなかったのかなあ。こういうのってギャラリーがいないと真剣勝負にスプーンというシュールさが生きないような。
それに強大な敵に立ち向かう熱血バカ主人公という非常に燃える要素もあるのだけど、周りがそれに全然ついて行けてない。特にヒロインたちは、ここまで「ラブ寄せ」する必要はあったんだろうか。会話が噛み合わないどころの問題ではなく、主人公だけ一人違う世界の住人の様な違和感が付きまとう。簡単に言うと主人公だけ浮いている。
結局のところ、作者が一番書きたかったのはスプーンのシュールな笑いだったのか、主人公の燃えだったのか、ヒロインたちのラブだったのか。これだと新人賞によくある詰め込み過ぎという感想しか出てこない。