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ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア」大森藤ノ(GA文庫)

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア (GA文庫)
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア (GA文庫)

【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタイン。最強と名高い女剣士は今日も仲間達と共に、広大な地下迷宮『ダンジョン』へと繰り出していく。灰へと朽ちた竜の死骸、忍び寄る異常事態、様々な謎と脅威が襲いかかる深層域50階層で、アイズが風を呼び、迷宮の闇へと一閃を刻む!
――そして訪れる、少年との運命の出会い
「あの……大丈夫、ですか?」
迷宮都市オラリオの地で、少女と少年の物語が鮮烈に交差する!
これは、もう一つの眷属の物語、──【剣姫の神聖譚】──

外伝の主人公は、本編の主人公・ベルのあこがれの人『剣姫』アイズ。
アイズの視点でベルと出会った日からフィリア祭までが描かれる、本編1巻の裏側が覗ける物語。



やっぱりアイズは可愛かった!
ソード・オラトリア=剣姫の神聖譚と銘打ちながら、中身は普通の女の子……とはかけ離れているけど、一人の人間の小さな悩みだった。
最強の冒険者アイズが主人公とあって当然のように俺TUEEEなバトルが展開されているのだが、燃えや爽快感はあまりない。アイズの性格上誇らず驕らず、というよりは彼女の目線はもっと上で、大物を倒しても勝利には興味がない感じ。それよりも、思うように上がらないステータスに対しての焦りや、助けたのに逃げられたベルへの疑問など静かに悩むアイズの心情がメインに描かれている。
傍から見るとぼーっとしている様にも達観している様にも見えるアイスの悩みが、予想以上に小さいのがなんだか可愛らしく映る。ただ、甘さは欠片も無いんだだよなあ。これが3巻の時点ではどうなっているのか、是非とも続きが読みたい。
それと同時にアイズが所属するロキ・ファミリアの様子が描かれるのだが、これが和気藹々でとても雰囲気がいい。本編では不憫キャラだけどファミリア内では愛されキャラだったのね、アイズたん。
このファミリアのベル君的ポディションはレフィーヤなのかな。頼りない後輩が奮起して、クライマックスの美味しいところはを持っていく姿はベルに重なる。
また、フレイヤ以外にもよからぬことを企む神が登場したりして、これも本編とどう繋がっていくのかも楽しみなところ。
外伝も本編に負けず劣らず面白かった。あとがきを読む限りこちらも続くようなので、アイズの心境の変化の過程が読めるのが今から楽しみ。