未知なる戦場「海上」で手痛い敗北を喫したイクタたち、カトヴァーナ海賊軍。驚異的な破壊力を誇る「爆砲」を装備するキオカ海軍に対して、もう戦略的撤退しかないと軍議がまとまりそうになったとき、海戦に関しては門外漢のはずの、ある少年が、爆砲艦への有効な対抗策を提言するのだった――。
「肉を切らせて骨を断つ」がごとき、血で血を洗う激烈な海戦が幕を開ける！
話題の本格派ファンタジー戦記、待望の５巻が登場。命ギリギリの容赦ない戦いは激しさを増すばかり……！
海戦の５巻。と思いきや、話が二転三転する戦乱の世のままならさを表した様な話だった。
その始まりは予定通りの海戦と、予想外の引き続きマシューのターン。
イクタの入れ知恵があるとはいえ、頼りない彼が立案に説得に戦場での活躍にと、彼が海戦の中心に立っていたことに驚きとイクタやヤトリの活躍とは違う嬉しさが。天才でなければ心が強靭でもないマシューから出た言葉だからこそ、響くものがいくつもあった。ポルミの生存＋αはそのご褒美かな。逆にマシューに不吉なフラグが立ったような気がしなくもないが。
不吉なフラグと言えばハロも。出番がないのを憂いていたらこんな形とは。本当に容赦のないことで。恐らくイクタは気付いてるんだろうな。彼女の立場をイクタがどう使うか、それとも使う間のなく涙の展開になるのか……これまでの展開から言って、どうしてもプラス方向の思考にはならない。
さて、肝心の海戦の方は、
お互いの読み合いが煮詰まってきて個の対決で場を盛り上げて最終局面へ、というところで唐突に終わってしまう。
そんな物足りなさを感じながら次の局面に移ったら……ちょっと気を抜いたらすぐにこの展開か！ 見事な不意打ち、実にあざとい（もちろん誉め言葉
最大のライバル？ジャンが出て来てイクタが本領発揮できる陸での対戦を思い描いた途端、さらにもう一転がり。ライバルまでダシに使うこんな豪胆な展開は予想できないって。
海戦の終わり方は少々肩透かしだったが、そこまでの内容と海戦後の盛り上がりは文句なしで今回も面白かった。
この先もどんな展開になるのか全然読めないが、イクタ主導になることだけは確定しているので、今回は少なかった主人公の活躍が楽しみ。
我らが母君（←おい エルルファイ様の御尊顔を拝んだ記憶がないなと見返してみたら、そもそも海戦図以外に挿絵が無かった。そういえば口絵も新しい絵が無い。表紙も出来が悪いし（ヤトリの剣の持ち方で萎える）、絵師さんは多忙なのか病気なのか。
