いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「魔法少女育成計画JOKERS」遠藤浅蜊(このライトノベルがすごい!文庫)

魔法少女育成計画 JOKERS (このライトノベルがすごい! 文庫)
魔法少女育成計画 JOKERS (このライトノベルがすごい! 文庫)

加賀美桜は平凡な少女で、桜が変身する「プリズムチェリー」は平凡な魔法少女だった。平和な町で、地味な魔法を使い、淡々と人助けを続ける日々に倦んでいた桜は、ある日クラスメイトの青木奈美から声をかけられる。「加賀美さんさ、魔法少女だよね? あたしもなんだ――」非凡な魔法少女「プリンセス・デリュージ」との出会いによって、桜の運命が動き始める……! 話題沸騰のマジカルサスペンスバトル、新章スタート!

「人造魔法少女」を発端にした、閉鎖空間となった廃工場からの脱出を図る魔法少女vs狩る側の魔法少女の壮絶な戦いが繰り広げられるシリーズ第7弾。今回は一巻完結。



いつもより血の匂いが薄い。なのに怖さは増している
これまで直接的に、かつ血生臭く死を表現することの多かった本シリーズ。それが今回は死の瞬間を隠したり婉曲にしたり、珍しく表現が柔らかい……表面上は。
今までが今までなので、このシリーズでも描けない死に方ってどんなに凄惨なんだろう、と無駄に想像力が働いてしまって余計怖く感じる不思議。悪の限りを尽くしてきたからこそ出来る表現方法だw
それともう一つ。一作目の主人公にして二作目からは最強の魔法少女、ある意味この作品の“JOKERS”として登場してきたスノーホワイトの登場が大きかった。あのスノーホワイトが撤退や苦戦を強いられているだけで、場の緊張感と絶望感が増す。
また、他愛なく可愛らしい夢もどんな小さな希望も軒並み打ち砕いていくえげつなさは当然健在で、今回も遣る瀬無さMAXだった。全くひでぇもん書きやがる(誉め言葉)
いつもどこか違うようで、でもやっぱり魔法少女育成計画だった。
そういえば、今回の事件はプフレの思惑どおりだったのか否か、前回に引き続き登場のフレデリカの目的はなど、謎をいくつか残したり、スノーホワイトの動向が気になる終わり方をしたりで、珍しく続きが気になる終わり方をしているのもいつもと違う点。