いつも月夜に本と酒

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「魔弾の王と戦姫14」川口士(MF文庫J)

魔弾の王と戦姫(ヴァナディース) (14) (MF文庫J)
魔弾の王と戦姫(ヴァナディース) (14) (MF文庫J)

ムオジネルの王弟クレイシュは十五万という空前絶後の大軍を擁し、優れた将軍たちをそろえ、都市や城砦を次々に無力化して王都へと迫っていた。ティグルは王女レギンが西方国境から呼び集めた兵を預かって月光の騎士軍を再編成し、仲間たちとともにクレイシュとの決戦に挑む。若き英雄は大切な者たちのいる王都を守り、クレイシュを撃つことができるのか。一方、ジスタートではブリューヌから帰国したヴァレンティナがフィグネリアやリーザと会談。ジスタートを覆う不穏、とめどなく続く数多の戦い、祖国に訪れた史上最大の危機の中で今、英雄となった若者は、その名を永遠に歴史に刻み込む――大ヒット最強美少女ファンタジー戦記の最高峰、第14弾!


相手は名将クレイシュ率いる十五万のムオジネル軍。本シリーズ最大規模の戦役が描かれる第14巻。
当然の如く沢山の血が流れる戦いだったが、血生臭いより泥臭い印象を受ける戦いだった。
描かれていたのは、奇策がバンバン決まったり、個の力で一騎当千以上のことをしたりする“ファンタジー”な戦記ではなく、状況が進めば進むほど泥沼化していくリアルな戦争。決着が痛み分けなのがなおのことリアル。
大軍同士がぶつかれば当然そうなるだろうという納得の内容だが、ラノベでこれをやるか。派手さは一切無し。永続的な緊張感はあっても目を引くような瞬間的な緊張感なし。終わりに爽快感もなし。魅せることよりも真面目に“戦争”を書こうとしている作者の本気度が伝わってくる。
それでもキャラ小説の面が捨てられていたわけではないので、息抜き出来るところはいくつか。
とりあえず一言、ティッタおめでとう!
まあ、予定調和だけどねw それよりティグルにハーレム王の自覚が出てきているのには、頼もしいと思えばのか苦笑いすればいいのか。親代わりのマスハス卿の気苦労が偲ばれますな。まあ、本人も若い頃はぶいぶい言わせてた(死語)らしいから、上手くとりなしてくれるかな。
さて当面の危機は去ったわけだけど、一息入れるのか魔物が本腰を入れるのか。次の展開にも目が離せない。