いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 今日を迎えるためのポタージュ」友井羊(宝島社文庫)

スープ屋しずくの謎解き朝ごはん ~今日を迎えるためのポタージュ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
スープ屋しずくの謎解き朝ごはん ~今日を迎えるためのポタージュ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)

シェフ・麻野が日替わりで作るスープが自慢のスープ屋「しずく」は、早朝にひっそり営業している。
常連客のOL・理恵は、新婚の上司・布美子の新居へ遊びに行く。順調そうに見えたふたりだが、夫から布美子の様子がおかしいと相談を受け……(「モーニングタイム」)。
ほか、狩猟中に奇妙な体験をする「山奥ガール」、ひきこもりの友人が抱える真相を探る「レンチェの秘密」など、心温まる全4話。


疲れた大人にホッとする一杯を。スープ屋「しずく」の日常ミステリ第2弾。
前作よりミステリ成分抑えめ、スープ成分増量といった感じ。
出てくるスープがどれもこれも美味しそうで本当に羨ましい。
見た目や味の丁寧な描写はもちろん、そのスープの歴史や効能などの薀蓄を適度に挿みつつ、それを飲んだ人の「一息ついた」という感じが滲み出ているのが素晴らしい。幸い読んだが日曜の午前だったので、インスタントだけどポタージュを用意してしまった。
また、日常ミステリの方でもホッとする。
その人のその時の心理状態を読んでいく推理方法が、人の機微に触れていて、かつ優しさに溢れていて実に心地いい。
ただ今回は、最後の4話目が違和感だらけで読後感がモヤモヤしているのが残念なところ。
話の中心の三人がお咎めなしで許されてしまったらこの子たちの為になるのか疑問。というのはゲストキャラだから置いていけばいいけど、この話に理恵がほとんど絡んでこないってことは脈なし? そこのがっかり感が大きい。
このまま終わられてしまうと折角の好きな作品が残念な印象のままになってしまうので、第3弾があることを信じてます。