いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ドクターぶたぶた」矢崎存美(光文社文庫)

ドクターぶたぶた (光文社文庫)
ドクターぶたぶた (光文社文庫)

医師やナースの間で「胃がんなら、この人」と信頼される、消化器系内視鏡手術のエキスパートがいる。その名は山崎ぶたぶた。大きな病院に呼ばれては手術をする名医だが、その“見た目”から、たまに執刀を断られることもあるという。その理由は、いったい――? 病院を舞台に巻き起こる、悲喜こもごもの四つのドラマ。おまけのショートショートもついてます。


今度のぶたぶたさんはお医者様。
やっぱり小児科かなあ。いや心療内科の線も捨てがたい。なんて予想しながら読み始めたら、まさかまさかの内視鏡手術のスペシャリスト。よく見れば帯に手術のスペシャリストって書いてあった。
先生の付く職業の時は意外なところ突いてくるな。何巻か前の学校の時は教師じゃなくてカウンセラーだったし。でも、どんな職業に就いていても必ずどこかで食べ物の話題に話が逸れていくのは、さすがぶたぶたさん。
四話+おまけ掌編とある中で、祖父母の家に大学生の孫が様子を見に行く「恋かもしれない」が好み。
お茶目で言いたいことははっきり言うばあちゃんと、寡黙だが人一倍愛が深いじいちゃん、孫が最後に出す答えが温かいけどちょっと笑えて読後感も最高。
他の話もぶたぶたさんらしい温かさに溢れた作品で良かったのだけど、疑問が一つ。
今回の話で手術を執刀医を理由に渋る人が結構出てくるのだけど、過去4度の手術の経験から言わせてもらうと執刀医ってそんなに気になるもの? というかそこに神経を割けるのは随分と余裕あるなと思ってしまった。まあ、ぶたぶたさんが人じゃないから状況が違うか。