いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「青の数学」王城夕紀(新潮文庫nex)

青の数学 (新潮文庫nex)
青の数学 (新潮文庫nex)

雪の日に出会った女子高生は、数学オリンピックを制した天才だった。その少女、京香凜の問いに、栢山は困惑する。「数学って、何?」――。若き数学者が集うネット上の決闘空間「E2」。全国トップ偕成高校の数学研究会「オイラー倶楽部」。ライバルと出会い、競う中で、栢山は香凜に対する答えを探す。ひたむきな想いを、身体に燻る熱を、数学へとぶつける少年少女たちを描く青春長編。

数学という茨の道を進もうとする一人の天才の苦悩と、彼がみる数学世界という原風景を描く作品……恐らく。まあ、雰囲気小説かな……たぶん。
要するにちんぷんかんぷんだったんですわ。
とりあえず知らない登場人物が何の説明もなく突然出てきたり、前触れなく夢の世界や過去に飛んだりする文章が天才っぽくて微妙に読み難いってのがあるけど、それは些細な問題。
天才の主人公の考えには一切共感できず、数学的な面白さがあるわけでもなく、結局作者が何を伝えたかったのか最後まで分からずと、楽しめるところも感動するところも一切なく終わっていった。おまけに主人公が何か答えを出したわけでもなく、あらすじの天才少女はオープニングにしか出てこなかったり、彼女が出した数式の解は無かったりと色々投げっぱなしなので余計にモヤッとする。まあ、続きがあるのだろうが。
一つの道を追い求めるのも青春言えば青春なんだろうけど、周りに女の子が何人もいるのに甘酸っぱさとは無縁の青春小説を楽しむ術を私は知らない。主人公に「君は修行僧か」と問いたくなった。
無神論者が極めて敬虔なクリスチャンの話を聴いている状態とでも言えばいいのか、要するに根本が噛み合っていないと感じる作品だった。天才の物語は凡人の私では全く読み取れませでした、すみません。
そういや、タイトルの頭についてる「青」は何だったんだろう。青春の青?