いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「フレイム王国興亡記5」疎陀陽(オーバーラップ文庫)

フレイム王国興亡記 5 (オーバーラップ文庫)
フレイム王国興亡記 5 (オーバーラップ文庫)

幾多の苦難をくぐり抜け、手に入れた平穏を享受していた浩太は、ある日フレイム王国女王リズに招集された。訪れた王城で出逢った二人の研究者・シオンとアリア。彼女たちこそ、浩太をこの世界に召喚した張本人であった――。そして、明かされるフレイム王国の祖“アレックス1世”と松代浩太の共通点とは!?
一方、時を同じくしてラルキア王国とライム都市国家同盟が、王女ジェシカの不幸な自殺を切欠にして戦争状態に突入してしまう。その余波はテラの経済を直撃。襲い来る苦境に、浩太の周りの皆は、再び浩太の“魔法”を期待するが……。
普通の『銀行員』浩太が紡ぐ異世界エコノミックファンタジー、第五幕。

ギブアップ。


そこに至った経緯を話そう。
前半は松代が召喚された理由と、彼と同じ召喚された者でった王国の祖・アレックス帝の真実の話。
このアレックス帝の歴史が“なろう”でお隣の作品から借りてきたのかと思うほど、異世界転生のテンプレな話でこれがまあ面白くない。また、その内容もさることながらアレックス帝ことマコト君の口調が松代の丁寧な口調と金融・経済という硬いテーマでやってきたこのシリーズの作風に全然合ってない。
それこそ金融・経済がメインの話だからその辺りのディテールが細かくないのは全然いいのだけど、それに文庫本一冊の半分のページを割く必要はあったのかが疑問。この作品を読む層にそれ需要ある? なんだかなろう内で人気を保つために日和らなけらばならなかったとか、そういう後ろ向きな理由が透けて見えるようで嫌な気分になった。
で、後半。
やっと本題に戻ってきたと思ったら、戦争に至る理由が実にしょーもない上に極めて胸糞悪いと来たもんだ。
このシリーズは他の異世界転生ものと違って、厳しい現実を突きつけられてそれをどう乗り切っていくかを読む甘くないものだと思っているから、胸糞悪いだけなら問題なかった。でも、面白くない前半の所為で後半に入る時点で相当テンションが下がっていた事と、頭の勝負を魅せる作品でこんな短絡的で強引な理由で戦争させたことへのがっかり感が合わさったら、不愉快さが我慢できなくなった。ここで完全に読む気が失せた。


そんなに多く読んでいるわけではないけど、なろう作品は長くなるとそれまでの作風から外れて余分なことしだす作品ばっかりだ。なろう書籍化の賞味期限は2巻、長くて3巻までな気がしている今日この頃。