いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「ロクでなし魔術講師と禁忌教典10」羊太郎(富士見ファンタジア文庫)

ロクでなし魔術講師と禁忌教典10 (ファンタジア文庫)
ロクでなし魔術講師と禁忌教典10 (ファンタジア文庫)

現世への復活を果たした魔人・アセロ=イエロによる、フェジテ崩壊の術式―“メギドの火”。その発動を防ぐべく、グレンたちは、学院、そして宮廷魔導士団の総力を結集する。「やつを倒す可能性のある手段は…ある」グレンのワイルドカード。その切り札を使用するために、グレンはもう一度、血に染まった過去の自分と向き合うことに。「ここに居ちゃいけないんだって…皆に甘えていた」そして、その出自が周囲に知れわたり、身を犠牲に戦うことを決意したルミアの前には、もうひとりの自分が現れ…世界が破滅に向かう時、二人は自身の罪と過去に対峙する!

学園では先生と生徒と特務分室メンバーが、空の《炎の船》ではグレン&ヒロインズが、ギリギリの戦いを繰り広げる「フェジテ最悪の三日間」後編。
相変わらず安心安定の優等生な作品でありました。
戦前、戦中の青臭い台詞に、盛り上げるところと息を抜くところの緩急の付け方が、ピンチと逆転の振り幅を段々大きくしていく盛り上げ方。どこをとっても基本に忠実、一貫して奇をてらわない作りをしているところに好感が持てる。ラノベ飽和状態の昨今は奇をてらって失敗する作品が沢山あるのでね。
と、変に分析染みた言い方になっているのは、オーソドックスすぎて感想が書きにくいから(^^; まあ、安心感と共に「次はこうなるんだろうな」と思ったことがそのまま起きる一種の気持ち良さはあるよね。
そんなことより、ルミアですよ。
ルミアが正式に参戦表明をしたことに胸がいっぱいになって他がどうでもよくなった。それでなくても今回はルミアの「諦め」を何度も何度も読まされた巻だったから、喜びが大きい。
今回で一区切りついて次はきっと日常回。吹っ切れたルミアの攻勢が楽しみで仕方がない。


ところで先生。9巻のあとがきはやっぱり嘘じゃないですか。今回もいじけててお荷物だったぞ、あの人。
一度だけ活躍した風だったけど能力と立場からするとあれは仕事したうちに入らないでしょう。