いつも月夜に本と酒

ライトノベルの感想を中心に興味のあることを日々つらつらと書き連ねるブログです。



「NNNからの使者 毛皮を着替えて」矢崎存美(ハルキ文庫)

NNNからの使者 毛皮を着替えて (ハルキ文庫)

社会人一年目で、三歳の頃から一緒だった猫を亡くしてペットロスになった古澤永(第一話)。小さい頃に飼っていた猫を思い出すと、胸が苦しくなる淀元美(第二話)……。そんな彼らの様子をじっと窺っている三毛猫がいた。その名はミケさん。地域の猫たちにも、そして猫好きな人々にも一目置かれる不思議なミケさんは、愛猫を想い続ける彼らに――!? 猫を、そしてペットを愛するすべての人に贈る、温かな涙がこぼれる物語。

猫を飼いたい人間のところに猫を送り込むNNNの活動を追うシリーズ、第三弾。
今回は一度猫と死別している人が各話の主人公になっているのが特徴。



サブタイトル&第四話のタイトルの「毛皮を着替える」はと猫が生まれ変わること。また、第五話のタイトルでその前にも何度か話題に上る「虹の橋」は、ペットが死後に天国へ渡る橋の袂でご主人を待つ作者不明の詩。
というわけで、今回はスピリチュアルというか輪廻転生思想が顕著な仏教的というか、そういう色が濃い今までと毛色が違った作品群になっていた。
……すみません。生まれ変わりとかそういう話、全然ピンと来ないです(^^; おかげで第三話から第五話の感想は「お、おう……。」しかない。
それでも、死別した直後の落ち込みと、また猫と触れ合って回復するまでを描いた第一話と、「毛皮を着替える」や「虹の橋」の話題はあっても、基本的には昔のペットの飼い方と思い度を語る第二話までは、共感できる部分もあって普通に楽しく読めた。特に大の大人が何人もであたふたしている姿が微笑ましく、同僚の優しさが染みる第一話はお気に入り。
第一部最終作か。出ない可能性の方が高いんだろうな……。